クラシック音楽おすすめアニメランキング 17

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのクラシック音楽成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月30日の時点で一番のクラシック音楽おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

91.6 1 クラシック音楽アニメランキング1位
四月は君の嘘(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (5073)
20170人が棚に入れました
母の死をきっかけにピアノが弾けなくなった元天才少年・有馬公生。モノクロームだった彼の日常は、一人のヴァイオリニストとの出逢いから色付き始める。
傍若無人、喧嘩上等、でも個性あふれる演奏家・宮園かをり。少女に魅せられた公生は自分の足で14歳の今を走り始める。

声優・キャラクター
花江夏樹、種田梨沙、佐倉綾音、逢坂良太、早見沙織、梶裕貴
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ひたすらきれいで、せつない

中学三年生の、
過去のトラウマによりピアノが弾けなくなった天才ピアニストの少年と、自由奔放な演奏で聴衆を魅了する天真爛漫なヴァイオリニストの少女。

二人が四月に出逢うところから物語は始まります。

本放送時、1話目観て「やたらキラッキラッしてるなぁ・・・パスかな?」と録りだめだけして、放置。
翌正月に暇でまとめ見してはまりました。
それから、最終回まで毎週が待ち遠しく。
テレビ番組でこんな気持ちになったのはいつ以来でしょうか。
自分の中ではBest of Bestの作品です。

以下、評価、感想です。

物語は勿論のこと、映像、音楽、演出、声優さんの演技全てが素晴らしい。

絵柄は背景含め丁寧できれいでカラフル。
目のチカチカするようなものではなく、優しくそれでいて鮮やかな色彩。
背景は一つ一つ切り出しても十分美麗なのですが、さらに登場人物のその時々の気持ちを真摯に映し出しています。

キャラクターの表情もワンシーン毎に丁寧に描かれており、声優さんの演技も相まって、1つ1つの動作や台詞が生き生きと伝わってきます。

原作漫画の構成・演出がもともと秀逸なところに、アニメでは漫画にはない「色」や「音」「精細な背景」を乗せ、さらに細かい工夫を重ねた演出で作品の魅力を最大限にまで引き上げている印象。

声優さんの演技では主人公「公生」とヒロイン「かをり」役の花江夏樹さんと種田梨沙さんが特に好きでした。

花江さんは公生のデリケートに揺れ動く心情をごく自然に表現されてます。
モノローグが多くそれがポエムっぽいので最初は面食らいましたが、花江さんの演技ですぐに馴染んでしまいました。

かをりは明るく天真爛漫ながら実は心のうちに葛藤を抱えているという複雑なキャラクター。
(最終話まで観てから二周目観るととそのことがよくわかります)
種田さんはその複雑な役回りを本当に上手く演じてらしたと思います。

音楽は演奏シーンの音と描写、ともに凄かったですね。
私は素人なのですが、音楽やってる人からの評判も素晴らしく高いようです。
重要な演奏シーンではとてつもない手間をかけてるそうで。
作画は単なるCGだけではなく、モデルアーティストの演奏を10台くらいのカメラで囲んで撮影した画像を見てアニメーターが手で起こしたのだそう。
特にヴァイオリンの演奏シーンは本当に圧倒されてしまいます。

ストーリーはジャンル分けするなら「音楽もの」「ボーイミーツガール」「恋愛」「少年の成長」といったところでしょうが、個人的にはそうした範疇には収めたくないなぁとか思ったり。

ストーリー展開が読めてしまい萎えた、という声もちらほらあるようですが、わかっていても釘付けになってしまうような迫力と物語としての完成度の高さがあります。


二つのプロット

{netabare} 「挫折した天才が、ヒロインに励まされ鼓舞されながら周囲との関係性に気がつき、自分の演奏を取り戻し、さらには成長していく」{/netabare}

{netabare} 「自分の死期を悟ったヒロインが残された時間を精一杯生きる」{/netabare} 

が九十九折のように絡み合いながら展開されていきます。


特に後者は最終回まで隠されているので、二周目はヒロインの気持ちが手に取るようにわかり、感動がいや増していきます。

この作品を{netabare} 死んで{/netabare} お涙頂戴というのが見当違いだということは、二回観た人ならわかるはず。


一番好きな作品なので熱く語ってしまいましたが、この作品のファンの方ならたくさん書いてしまう気持ちも共感いただけるかと 笑。

とりあえずチャンスがあれば人におすすめしている作品です。

<追記①>
「君」という言葉について
公生とかをりは互いを「君」と呼びあっています。
もはや君嘘を象徴するワード。

でも互いに互いを「君」と呼ぶとか変ですよね。
そもそも「君」とか現実ではあまり使わないし。

普通に考えると君嘘の公生、かをりは、{netabare} 互いを少し距離を置いた{/netabare} 存在としようとしていた。

でもただそれだけなら苗字で呼べばいい。
やはり「君」と呼びかけるのはなんらか特別な気持ちがあるのだと思います。
他の人には「君」と呼びかけたりしてないわけですし。

公生のモノローグ{netabare} 「近づきたいけど近づけない」。{/netabare} 
結局これなんじゃないかな。
これはかをりも同じだったんでしょう。
だから「君」と呼ぶ。

渡と椿にはそんな二人はやはり特別な関係に見えたでしょうね。
だから渡も察するし、椿もヤキモチを焼くんだろうな。

とか思いました。

<追記②>
君嘘を観た感想は人さまざま。

放映直後はネットでいろんな声が飛び交っていたのを覚えています。
号泣して虚脱感に苛まされたという人もいれば、ストーリーが読めてつまらなかったという人も、その中間な人も。

感動したという人も、どこの部分に感動したというのは人により異なるようです。

※以下は重度のネタバレです。
{netabare}
私の場合は、最終回の手紙のとある一文でした。

ここまでの話で、
かをりが公生と出会う前から公生の演奏に惹かれていたであろうこと、
嘘は「渡くんのことが好き」であるだろうこと、
くらいは想像してました(まぁ普通見当つきますよね)。

気になっていたのは
「公生に近づくためになぜそんな無茶な嘘をついたんだろう」

手紙の前段では子供の頃からの公生への憧れが綴られていました。
だから公生に近づきたい気持ちは納得。

でもですよ。
普通、嘘ついて他人をダシにして好きな人に近づくとかはとんでもない行為。
それだけで相当な無茶。
さらには公生を力ずくで舞台に引きずり上げるとか相当無理無茶してます。

「なぜそんな無茶を?」

手紙にはこうあります。

---------
ある夜、病院の待合室で、お父さんとお母さんが泣いてるのを見て
『私は長くないのだ』と知りました

その時です
わたしは・・・走り出したのです。

後悔を天国に持ち込まないため、好き勝手やったりしました」
---------

私はこの
「わたしは・・・走り出したのです。」
にやられてしまいました。

自分の死を悟った14歳のヒロインが残された時間を精一杯生きようと心に決めた瞬間。

ああ、そうか
だから勇気を出してそんなギリギリの無茶をしたのか

「聖の青春」(大崎善生 著)というノンフィクション小説を読んだ時と同じような感動と衝撃でした。


しかし、 かをりのついた嘘は悲しい嘘でもありました。

四月の出会いの後、かをりの中には、公生に対して音楽家としての憧れだけではなく、一人の異性としての好意が芽生えていきます。
しかし、いくら感情が膨らんできても誰にも漏らせません。
知られてしまったら椿にも渡にも酷いことをしたことになる。
何より「私は通り過ぎて居なくなる人間」
もし仮に付き合うようなことにでもなったら公生にも酷い悲しみを与えてしまう。

公生とはあくまで音楽家としての関わりであると一線を引き、真の想いはどんなに勘ぐられても自分の中にしまっておくしかないものでした。

それでもかをりは公生への高まる想いを抑えきれず葛藤していきます。
「自分のことを忘れてほしくない」
「自分の本当の想いを知ってほしい」
そんな「音楽以外でも結びついていたい」という気持ち。

いろんな気持ちがないまぜになり、その帰結があの最期の「手紙」なんでしょう。


もちろん公生の成長やかをりへの想い、青春といった要素もひっくるめて私はこの作品が大好きなのですが、この作品が自分の中で特別になった一番のポイントはこうしたところです。

死んだから悲しい、という話ではない。
死ぬまでのたった1年足らずの短い時間を、周りには隠しながらも、葛藤しながらも、足掻いて足掻いて必死に走り抜けた女の子の話。{/netabare}

アニメでこうした感動が味わえるとは思いませんでした。

<2019/2/1 追記③>
第2話の最後の方。

帰り道、かをりが渡を待つ振りをして公生を待ち伏せしてるシーン。

このやり取り好きなんですよ。

かをりを傷つけまいと、ガールフレンドと帰る約束をしてる渡のことを悟られないように「渡はまだ部活」と嘘をつく公生。

そんな嘘に気がつきながらも「じゃあ渡くんを探しに行こっかなー」と意地悪な素振りをする、かをり。

それを慌てふためいて止めようとする公生

たぶん、この時、かをりは公生が{netabare} "思ってた通り、優しい人"{/netabare} なのだと実感したのかなぁ、と。

<追記④>
この作品の特徴に
「大切な言葉を繰り返す」
というところがあります。

同じ意味で
違う意味で
同じ人が
違う人が

それも結構な話数を飛び越えて。

さらに、時には反対の言葉を持ってきて対の関係にする。

これらがこの作品の魅力を引き立てています。
まるで作品そのものが「詩」のよう。

何度か観た人はそうした、紡がれる言葉を探してみるのも良いかもしれません。

<更新履歴>
2017/9上旬 初投稿
2017/9/19 追記①
2017/10/15追記①修正
2018/9/21 本文を大幅に加筆修正し、追記②を追加
2019/2/1 追記③
2019/11/07 追記④
2023/4/23 一部削除

投稿 : 2024/12/28
♥ : 162

PPN さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

アニメの素晴らしさを改めて知る(○´∀`○)

トラウマを抱える天才ピアニストと
個性で聴衆を魅了するヴァイオリニスト。
2人の中学生を中心に描かれた学園青春もの。
2クール、全22話。
原作:月刊少年マガジンにて連載。
   2015年3月に完結(未読)



色彩の豊かな作画は圧倒的。
響いてくる音楽は作品の世界観を
秀逸に表現し、観てる者を魅了する。
彼らの青春を紡ぐストーリーは
彼らと共に海図のない航路を旅している
そんな気持ちにさせてくれる。


残念ながら…
これ以上この作品について語るすべを
にわか者のおいらは持ち合わせておりません。

良いレビューがたくさん並んでいますので
その方々のレビューをぜひ読んでほしいです!

あにこれでも本当に評価の高い作品。
ノイタミナ枠という事で注目していました。
放送終了直後、一気に投稿されたレビューの数々が
気になってしまいネタバレタグも気にせず
皆さんのレビューを読み漁ってしまいましたw

しっかりとした優良レビューが多く
軽く一周目しちゃったような状況での視聴にw
結末を知りつつ楽しめるのか、完走できるのか
不安でしたが…浅はかな自分を反省しました。


それでも『感動』を与えてくれる『名作』!!
それをも『音楽』で答えてくれる『名作』!!


間違いなくそんな作品だったと思います。
視聴後に押し寄せてくる寂寥感と余韻は
言葉になりませんでした。
アニメの持つ奥深さや素晴らしさを改めて知る
良い機会になった事に感謝です。

たくさんの方に触れて頂きたい作品です(*´∀`*)ノ





《キャスト》

有馬 公生(CV.花江夏樹)
宮園 かをり(CV.種田梨沙)
澤部 椿(CV.佐倉綾音)
渡 亮太(CV.逢坂良太)
柏木 奈緒(CV.石上静香)
井川 絵見(CV.早見沙織)
相座 武士(CV.梶裕貴)
相座 なぎ(CV.茅野愛衣)
瀬戸 紘子(CV.園崎未恵)
有馬 早希(CV.能登麻美子)



《主題歌》

OP
『光るなら』/Goose house(第1話ー第11話)
『七色シンフォニー』/コアラモード.(第12話ー第22話)
ED
『キラメキ』/wacci(第1話ー第11話)
『オレンジ』/7!!(第12ー第21話)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 115
ネタバレ

にゃんぴ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

かをりのセリフ......・゚・(*ノД`*)・゚・。

原作未読

ずっと考えてる、何でこのアニメは「四月は君の嘘」という名前なの?

最終回まで見ないと分からない、

気づけば、実は1話から最終回まで伏線だらけ!!!嘘だろ......・゚・(*ノД`*)・゚・。

本当に悲しくて切ない嘘...

恋愛、青春、音楽系アニメが好きな人、ぜひ。

かをりのセリフ:
{netabare}受けたいです、手術。ほんの僅かでも時間が伸びるなら、ほん

の僅かでもそこに希望があるのなら、何だって縋りたいです。四月に出会っ

た男の子がいました、泣いて吐き出してみっともないぐらいあがいて、で

も、舞台で星のように輝いて、その人生は美しく奏でられるメロディーのよ

う、その男の子と約束したんです、また一緒に弾こうって、だから、私も一

生懸命あがいてやろうと思います、みっともなくても悪あがきでも、あがい

てあがいてあがいてあがきまくってやる...{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 200

89.2 2 クラシック音楽アニメランキング2位
銀河英雄伝説(TVアニメ動画)

1990年春アニメ
★★★★★ 4.3 (948)
4066人が棚に入れました
西暦2801年を宇宙暦1年とした遥かな未来。宇宙に進出した人類は、専制政治を敷く銀河帝国と民主共和政を唱える自由惑星同盟の二大勢力に分かれ、 150年にもわたる断続的な戦争を続けていた。長く不毛な戦いが永遠に続くかに思われていた宇宙暦700年代末、両陣営に2人の英雄が出現する。銀河帝国の貧乏貴族の家に生まれたラインハルトは、姉を皇帝に奪われた事をキッカケとして、銀河帝国を奪い取る野望を胸に軍人となり、出世していく。 一方、敵国である自由惑星同盟にあって、不本意ながら軍人になってしまい、不本意にも関わらず功績を立て続けるヤン・ウェンリー。 一見正反対の彼ら2人の登場により、人類の歴史が大きく展開し始める
ネタバレ

ラスコーリニコフ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

銀英とあにこれとアニメ業界について

あにこれに参加して1ヶ月時点で書いたレビューを書き直しました。

この作品のレビューを書くのが目標だった。(2013/11)
{netabare}
◆一つのアニメとして

色々な要素を一つ一つ見て、トータルして完成度が高いのは攻殻。

ただ、銀英はアニメ作品というの枠の外。それをあえてアニメ作品
として評価するとしたら・・、

物語:98.0 作画:3.5 声優:72.0 音楽:4.0 キャラ:86.0

こういった馬鹿げた事になってしまう。

名作アニメ達が「3階建て、エレベーター、室内プール、シアター
ルーム、防音設備完備、トイレは各階に5つ」とかそんな規模なのに、

「万里の長城みたいなのを作りたいんだけど・・、一応設計図はある
んだ」と、そして出来てしまった。

つまりアニメ作品単体と比較するのではなく、アニメ業界全てと対比
すべきよーなもの。


◆世間一般でのイメージ

検索 富野由悠季VS田中芳樹
検索 銀河英雄伝説対ガンダム全作品

方向性が違うので、比較するような事では無い気がする。


◆対象年齢

ある程度水準が高めの大人にしか多分本当の価値は理解できない。

けど、中学~高校の若いうちに見た方が、色々な意味で有益な作品。
10人中7~8人位が分かる程度の内容にはなっています。


◆若いうちに見る意味

キャプテン翼は日本だけではなく海外のサッカー選手にまで大きな
影響を与えた訳ですが、

検索 キャプテン翼をこよなく愛する海外のサッカー選手
検索 キャプテン翼に影響をうけた海外のサッカー選手

それは単に面白いサッカー漫画であるという事で、サッカーを始め
るきっかけや精神面、モチベーション部分に良い影響があった。

キャプテン翼を読んだ、あるいは視聴した
⇒ドライブシュートが打てるようになった
⇒それが実際のサッカーでも役に立った
という事では無い訳です。

最近話題の黒子君のミスディレクションにしても、バスケで使える
かと言えば、使えない、無理がある。

銀英も基本的にはそういった性質、作品を見ただけで具体的な何か
が向上するという事ではなく、あくまでエンターテイメント。

しかし、サッカー作品ならサッカーに、バスケ作品ならバスケに、
同じ分野に関わらない限りはほぼ役に立たない多くの作品と違って、
銀英は普通の人生を送る上でも色々な面で良い影響がある。

多くの事に興味が持てるようになる、知識が吸収しやすくなる。

学生のうちは国語(現代文、古典)、政治(政治経済)、哲学(倫理)
歴史(日本史、世界史)、軍事(戦略、戦術)、権力や宗教、戦争の
本質、世の中の仕組み、魅力的な話し方、文章の書き方等。

自分は理系で学生の頃は興味無い分野は嫌々勉強していましたが、
この作品をもっと早く見てれば色々楽しめたはず、知識が身に付くの
も早いかっただろうな・・と、今でも思います。


ニュースを見ていてもビジネス書籍を読んでいても銀英の内容は頻繁
に思い出す「下手糞な言い方してるけど、結局銀英の~じゃん」的な。

イメージ出来るシーンがあると、面倒な話もすぐに理解出来る。

「マンガで分かる~」シリーズの本をジャンル問わず数百冊まとめて
読むよーな、そういった効果があります。

小説(原作)になると序章がキツめなので、まずはアニメから見るの
をオススメします。


◆物語

話の完成度は異次元。三国志クラス。とても個人の脳内から出て来た
話だとは思えない。

星界の紋章、まおゆう(原作の方)、コードギアス、狼と香辛料、カイジ
他福本作品、医龍(漫画だけ)、C - The Money~省略、一部ガンダム
作品(seed destiny等)、攻殻、十二国記、MONSTER、ヨルムンガンド、
デスノート、プラテネス。

全部足して萌えや恋愛、異能の力を抜くと、銀英っぽい話が出来る
かもしれない。


◆キャラ

やはり三国志クラス。

キャラ数を1/10にしても、やはり5.0を付けてしまうと思う。


◆作画

ある程度は我慢してください。

物語、声優、キャラで5.0以上を付けれない為、その分を盛って5.0に
しておきます。


◆声優

桁が違う。作品が出来た時期が非常に良かった。

検索 銀河声優伝説


◆音楽

OPとEDは我慢してください。これも盛ります。

戦闘時はクラッシック使っているので、多分不満は無いはず。


◆名言

名言だらけと言われてる作品と比べ、桁が「2つ」違う。

だから現在でもよくパクられるし、あのアニメのこの名言のネタ元は
ここだったのか・・が結構あると思います。

この銀英の原作者の田中芳樹が、どこからそのネタ持って来たのかを
調べる作業が自分の中で今もなお続いており、その為に読んだ書物が
100~200冊どころではない。だからこそ若い人に薦めたい。


◆戦術は戦略に従属し、戦略は政治に、政治は経済に従属する

銀英で出て来る名言を1つだけ、その応用の仕方も含めて紹介。

現実でも通じる話で、普通の作品はこれ等の一部だけが扱われる
のですが、銀英だと全てが登場し、それ等の関係性が分かります。

 経済 > 政治 > 戦略 > 戦術

【経済】
お金とモノ、それ等の流れ、社会の生産活動の調整、あるいは生産
活動そのもの。個人ならば自分にお金が流れる仕組み(≒何の職
に就くのか、何の仕事をするのか?給与は?)、といった感じ。

【政治】
お金をどう使うか配分を決める、時にはその一定量を戦争に向ける
事もある。

個人ならお金と時間を何に向けるか?戦争に関しては「何を戦争と
捉えるか?」で変わって来ると思います。(一般的には受験や資格
試験、あとは恋愛系、異性に対してのアプローチとか)

【戦略】
どこと戦うか、何と戦うか、そもそも戦うか否かの決定。敵を分析
して戦闘前に有利な状況を作り出したり、計画を立てる。

誰でも知っているであろう「彼を知り己を知れば百戦殆からず」
というのも、ここに関係してくる。勝てそうにないなら、避けたり
先延ばしにしたり。

【戦術】
戦う事にした、あるいは戦わざるを得なくなった。ではどう戦うか、
追撃は?撤退するタイミングは?という話。

個人で考えると「アニメの視聴」は政治面、戦略面での失敗の類。

アニメ好きで膨大な時間(時にはお金)を投入している方、自分も
同じですが、その時間を有効に使う方法はいくらでもあります。

撤退が嫌なら経済、政治、戦略面に良い影響を与える視聴の仕方を
考えると良いです。

【補給は大事】
銀英は補給を重点的に捉えていて、その事で「実際の戦争は・・」
と軍事オタクの方々によく突っ込まれている。

個人であれば食事や睡眠。精神が疲弊して来たら気分転換、休息、
英気を養う為に遊んでみたりと、そう考えると納得出来るはず。

田中さんがサボるのが好きなので「単に性格が出ているだけ」とも
考えられますけど。


◆話は分かりやすくする事

ある程度専門知識を持ってしまうと、インテリぶって自己満足で相手
の理解を無視して話を進める人が多く、

自身高校~大学の頃はそういった傾向があった訳ですが、この作品
見てからそれが無性に恥ずかしくなり、なるべく知識が無い人にでも
通じる言葉で話す事を心がけるようになりました。

自分より遥かに頭が良くて知識がある人が、分かりやすい面白い話、
つまり銀河英雄伝説を書いていた(アニメでやっていた)ので敗北感
で一杯に、チンケな見栄やプライドをへし折られた訳です。


専門的な事を誰にでも分かりやすく話すのは、自分1人が理解する
3倍の理解が必要ならしいですが、理解不足のお馬鹿に限ってあまり
一般的ではない用語を使い、難しく分かりにくく話す。

聞き慣れない用語を並べるだけ、具体例が出せない、イメージさせる
事が出来ない、簡単に言い換えられない ≒ よく分かっていない。


現実で歴史に「天才」として名を残している人の言葉で

シンプルさは究極の洗練である(レオナルド・ダ・ヴィンチ)

とか。あとはアインシュタイン、

Everything should be as simple as it is,but not simpler

訳:できるだけシンプルに、ただしシンプル過ぎないように
  できるだけシンプルに、そしてシンプル過ぎないように とか。

銀英の原作者の田中芳樹は「一体何が凄いのか?」という事ですが、
アインシュタインの方の「名言のそのもの」みたいな人で、

情報の噛み砕き方、翻訳の仕方、そのバランス感覚が神憑っている。

この内容は簡単にした方が良い、これは比較した方が分かりやすい、
ここは具体例を出した方が良い、~な内容は直接だと不味いので笑い
に繋げてぼやかす、ここは直球で、ここは理解の妨げになるので全て
省略、これは大事なのでしつこく、みたいなセンス。


人間の脳みそは「大体の事は理解できるが、ちょっと分からない事が
がある位の情報」に出会った時一番活発に働く、心地良いと感じると
言われていますが、

知識が全く無い人にとってのそのレベルの内容を常にキープしている、

「少し難しい、分からない事もあるけど、大体理解出来る、頭に入る、
面白い、どんどん読める、どんど見れる」な感じ。


という事は「元々簡単なジャンルの情報」とか「元々興味がある人に
エンターテイメント性を抜きにして教えるだけ」だったら、出来る人
は結構いる訳ですが(池上○の学べるニュース!みたいな)、

本来一部専門の人しか扱わない情報の数々を大衆が見て楽しめる
レベルにまで落とし、娯楽作品として加工、それが流行るという事が
いかに不気味な事か。


各界で天才と言われている人も、所詮「食えそうな食材を(含めて)
料理している」訳でして、田中は本来食えないもの、彼以外は調理が
できないものを組み合わせて、一流の料理にしてしまった。

古めの漫画、アニメでたまにある「カレーを作ったら爆発した」の逆、

「食材とは思えないものから、見栄えが非常に良い料理が出来、それ
が非常に美味しい」というケース。

食材選択、分量の調整、味付け、料理の腕等で皆が争っている時に、
錬金術的なことをやらかした。


銀英より面白い作品、消費者ニーズに合っている(萌え、エロ、恋愛、
厨二、ゲーム系)作品は腐るほどありますが、銀英は人生で役に立つ
健康食品で構成されているので、いくら食べても大丈夫です。

似た事を冨樫作品(幽遊白書やHUNTERXHUNTER)のレビューにも
書きましたが、彼もまた錬金術士の1人でありながらも、メインで使用
するのは化学調味料たっぷりの有害物質。

非常に美味い、腕は超一流、しかし現実では何の役にも立たない。

2人ともサボり癖がある事で有名ですが、錬金術は膨大なエネルギー
が必要なのでしょう・・ね。そう思わないと、腹が立って仕方がない。


◆比喩を使う

普通の人は本読んだり会話した時に、その内容の1/10も記憶に残る事
がないらしいですが、だったら「少しでも伝わった方が良い」

大抵の場合、話は10のうち7~8位が伝われば十分で、10のうち7~8位
が正確ならばあまり問題は生じない。

そして7~8/10で良いなら例え話、比喩を使うのが手っ取り早く伝わり
やすい。

銀英には色々な比喩が出てきて、古いものや特殊なものも多いですが、
比喩というもの自体に興味が持てるようになると思います。

そもそも銀英という話自体大型の比喩みたいなもので、どの分野の事
も7~8/10程度の中身しか無いし、正確さもやはり7~8/10くらい。

だからこそ簡単で理解しやすい。


◆でも、より正確にしなければいけない話もある

主観なのか客観なのか、想像なのか事実なのか、自分の言葉なのか
誰かに聞いた言葉なのか、本音か建前か、絶対か多分か、

~らしい、おそらく~、~とも言える、~のような、~だと~が主張
している等。

より正確に伝える為に大雑把にまとめたり、別の言葉で言ってみたり、
自分のレビューでも結構あると思いますけど、主に銀英・・というか
田中芳樹の影響。という言い方自体が、田中の影響。


◆話は面白く、印象深く

ネットが一般に普及し、情報過多の時代なので、情報を選別しパッケ
ージングする(まとめる)技術は多くの人が向上している訳ですが、

その分「誰が」の部分、個性が薄れている、記憶にあまり残らない。

大半がテンプレ通りで、似たような情報を似たようにまとめている。

そんな中で「個」を出せるのは、非常に大きな武器になる、アニメの
レビューを書くのをやめても様々な場面で役に立ちます。


◆銀英の作者、田中芳樹の凄いところ

表現、創作を生業にする人の中で天才と呼ばれる方は結構いますが、
言葉の響き、使い回し、意味ありげなぼやけた表現で読者、視聴者を
惹きつける人ばかり(歴史に名を残している人含め)の中で、

そういったセンスを十二分に持ちながらも、基本的には「言葉の持つ
意味、内容の力」でダイレクトに惹く。

芸術家的な気取りがない、含みで盛る部分が無い、あっさりしている。


・名言や過去の偉人達と友達感覚

「権力、権威」を重視しない気持ちが「情報、過去の偉人達」にまで
及んでいて、必要以上に敬意を持っていない。

嫌いなもの、納得のいかないものはあっさり否定が出来る、ひねくれ
た解釈も出来る、だから普通組み合わない様々な情報と結び付いて、
通常の作品の数百倍になる量の数々の名言が生まれる。

いかなる名言、表現であろうとも一般的な情報と同等、一度原点部分、
意味の方に立ち返り、ストーリーの状況に応じてアレンジしあっさりと
再構築が出来る。

知識が凄いんじゃねーんです、知識も化け物染みてますが、その使い
方が凄いんです、色々な作品に出逢えば出会う程にその凄さが分かる。

最終的にはその部分を学んで欲しいです。そうすれば少ない知識でも
書ける事、話せる事の幅が何倍、何十倍にも広がると思います。
{/netabare}
アニメ視聴数が100未満、銀英を見た事が無い若い人に向けてのメッセージ的な。


あにこれの影響力とアニメ業界全体について
{netabare}
◆あにこれの影響力

運営している方々が優秀なお陰で「アニメ ○○」という検索ワード
でランキング、おすすめ、口コミ、評価等で1位や2位にあり、アニメ
業界の人間は意識せざるを得ない。

消費者からの評価、口コミというのは年々影響力が強くなっている為、
「ここでダメな評価をされにくい作品」を制作しなくてはならない。

少なくとも「どういったものが好まれるのか」の傾向はある程度掴む、
余程アホな企業じゃ無い限りは、その位の仕事はしているはず。

検索 今年のアニメのBD/DVDの初動売上をまとめたら凄いことになった

とは言うものの、ここの評価と売上には「あまり関係性は無い」ので、
そこまで重視はされない。


・業界への影響力を向上させるには

売れたアニメは片っ端から見て評価する人が増え、ここのランキング
が売上に近い形になれば、あにこれというサイト自体と、各レビュー
の影響力が増す訳ですが、

普通にレビューを書く分には、そんな事まで考える必要は無いと思う。

政党で言うと国会の議席数が20未満の野党、いくら騒いでも直接的な
効果はあまりない。

しかし、文章には、というよりも言論には数値とは別の力がある訳で、
優れた意見、主張、見解、分析、批評、論評は人から人へと伝搬する。

小さな点、たとえ1行レビューからだろうと、それが真に的を得ている
のであれば、爆発的に広がっていく。

たかだかレビューサイトの1つと言えども、アニメ業界の人々に「良い
作品を作ろうと思わせる力」「クソな作品を気分良く作らせない力」は
十分に有しているので、

そういった環境でレビューを書いているという事は覚えておくと良い
ような。「いくら文句を書いても無駄」とか、そんな事は無いです。


◆イノベーター理論(Innovator theory)

1、イノベーター(Innovators:革新者)
冒険的で新商品が出ると進んで採用する層。市場全体の2.5%を構成。

2、アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)
社会と価値観を共有しているものの、流行には敏感で、自ら情報収集
を行い判断する人々の層。市場全体の13.5%を構成。

3、アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随者)
新しい様式の採用には比較的慎重な人々の層。慎重派ではあるものの、
全体の平均より早くに新しいものを取り入れる。
市場全体の34.0%を構成

4、レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随者)
新しい様式の採用には懐疑的な人々の層。周囲の大多数が使用して
いるという確証が得られてから同じ選択をする。
市場全体の34.0%を構成

5、ラガード(Laggards:遅滞者)
最も保守的な人々の層。流行や世の中の動きに関心が薄く、イノベー
ションが伝統化するまで採用しない。市場全体の16.0%を構成。
中には、最後まで不採用を貫く者もいる。


マーケティングの世界では有名な理論で、顧客を新製品やサービスの
購入態度で分類したものですが、「評価」というのも同様。

つまり「2.5%の人の行動(評価)が、97.5%の人の行動(評価)に影響
を与える」という事。

「積極的に新しいアニメを見て、自分で考え自分で評価しいてる」という人
は現在のあにこれでは非常に多く、

アニメは視聴だけならば無料という事もあって、イノベーターの割合は
他のジャンルより多いと思いますが、

それでも10%~20%位の人の行動(評価含む)が、80%~90%に影響
を与えていて、

レビュアーは大多数に影響を与える少数に属しているという事。

勿論、影響を与えると言っても一部(マイノリティを気取りたい人とか、
厨二病的な人)にはマイナスの影響だったりもしますが。


銀英だとハイドリッヒ・ラングが

「全体を100としてそのうち51を占めれば多数による支配を主張でき
 ます。ところが、その多数派もいくつもの派閥に別れています。

 即ち、その51のうち26を占めれば、100という全体を支配できます。
 多数支配などという共和制の建前が、如何に虚しいものであるか~」

という話をしていますが、そんな感じで考えても良いですし、あとは

パレートの法則:経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成
するうちの一部の要素が生み出しているという説(80:20の法則)

カオス理論のバタフライ効果:通常なら無視できると思われるような
極めて小さな差が、やがては無視できない大きな差となる現象

とか。

実際、どの程度の影響があるかはよく分からないですけど、レビュー
を書くという事は「大多数に影響を与える行為」な訳です。

レビューの内容に迷った時はその事を意識する。


読者に与える影響

他のレビュアーに与える影響

長期で考えて、あにこれに与える影響

更に長期で考えて、アニメ業界全体に与える影響


普段はろくな事を書いていないので、あまり他の方のレビューを紹介
したくないですが、今書いている事自体が

劣悪な衆愚アニメの決定版
http://www.anikore.jp/review/242462/

このレビューの内容が伝搬したものであり、それは書きながら不意に
思い出したのですが、あにこれの隅っこであろうと、誰かはこの事を
訴え続けていかなくてはならない。

銀英的に言うと、政治権力に対するジャーナリズム、そういった立場
にレビュアーはあるという事。

最近クソアニメばかり視聴し、あまり本気でレビューを書く気が起き
ない自分は、二度とこんな事を書くことは無いような気もする。

よって、これを読んでいる誰かが「頑張ってやらないとダメな事」な
訳です。頑張ってください☆

ペンは剣よりも強し。こいつは真理など滅多に存在しない人間社会
の中で、数少ない例外の一つだ。と、ヤン提督も仰っておられます。


◆マズローの欲求5段階説

ビジネス絡みだとたまに持ちだされる話ですが、長期間レビュアーを
していても、似たような欲求の変化が起きる。

自己実現欲求  : 自己の向上、活動をより充実したものにしたい
  ↑
尊重、承認欲求 : レビュアーとして尊重されたい、承認されたい
  ↑
所属、愛の欲求 : メッセージが欲しい、交流したい等
  ↑
安全の欲求 : 批難されたくない、叩かれたく無い
  ↑
生理的欲求 : 読まれたい、サンキューが欲しい

多分、こんな感じ。

欲求を外でも満たせるなら、最初の欲求以外の途中の段階をすっ飛
ばす事もあるでしょうし、必ずしも下から順にという事はないです。

「頑張ってやらないとダメ」とか書きましたが、欲求が最終段階に到達
した一部が勝手に考えて上手く書くと思うので、他に欲求があるうちは
特に意識する事は無いと思います。


◆アニメ業界の衰退

検索 アニメ業界、売上4年連続減、テレビ放送頼みからの脱却を模索
検索 5年ぶりに制作分数が増加、レポートから見るアニメ業界の現状

実際は低迷とか衰退とか言う程にひどい事は無いですが、予兆のような
ものは確実にある。

製品ライフサイクルでいう成熟期~衰退期の段階で

検索 【アニメとマーケティング分析3】今のアニメ産業の『ライフサイクル』について考察!

少し知識があると誰でも考えるよーな話。


銀英の 第40話 ユリアンの旅・人類の旅 から、一部の話を

~しかしながらその平和が続く中で、人類の上にいわゆる中世的停滞
の影が持ち掛かりました。

疲労と倦怠が希望と野心を抑え、消極が積極に、悲観が楽観に、退嬰
が進取に取って代わるようになって来たのです。

実際に科学技術による新たな発見や発明が後を絶ち、人類の生存圏の
拡張も再び頭打ちになっていったのです。

更に政治的にも民主共和政治が自浄力を失い、利権漁りと権力闘争に
のみ興味を示す衆愚政治と化していったのです。

社会的活力が失われ、社会生活や文化は廃退の一途を辿った、人々は
無気力化し老若男女を問わず麻薬や酒、性的乱交や、神秘主義に耽る
者が続出した。

あるいはスピードや暴力に刺激を求め、事故や犯罪が激増し、反比例
して検挙率は低下した。

生命を軽視し、モラルを嘲笑する傾向は深まる一方だった~


人類の未来の架空の歴史の話な訳ですが、開拓が一段落して頭打ちに
なると、大抵のものはグダグダになる。

創造的活力が失われ、アニメ業界、文化は廃退の一途を辿る、人々は
萌豚化し老若男女問わず萌えやエロ、ハーレム話に耽る者が・・

とか、そんな感じに。

進撃の巨人は良い作品だと思いますが、閉塞感の中でスピード、暴力
という点では「まさに衰退期の象徴そのもの」で、ちょっと危ない。


と言っても視聴側には大した被害は無い訳でして、一番悲惨なのは

検索 アニメ制作の現場で働く20代の平均年収110万円

採算ラインに届かないアニメが大量に制作された結果

アニメDVD・BDの売り上げを見守るスレ@wiki - 売上ライン一覧

その皺寄せが下っ端に来ている、というのはどこの世界でも同じ事。


◆あにこれは多分まだ成長期

登録者数の推移は知らないので、そういった点ではよく分からない訳
ですが、レビューの質は日々向上し、多様化している気がする。

各自がレビュアーであると同時に読者。そして技量に関係なく読者数
とその質が調整出来る、という点は上手く使えば非常に快適。

どうやって調整するかは書かないですが、察してくださいな事ですが、
単純に増やす事に躍起になった後は、レビュー内容についても色々と
考えると面白いと思います。

作品へのレビューは様々な点からのアプローチが可能で、ここで評価
基準になっている物語、作画、声優、音楽、キャラ以外からでも、


・見た時の状況

年齢が高い方の書く、当時の視聴状況についての話は面白いので好き
です。


・歴史的なアプローチ

ヤン提督の如く、歴史からの考察。歴史と言っても色々な歴史からの
アプローチが可能で、あにこれに長く居るとその歴史からでも色々と
書ける。


・売上からのアプローチ

ここの評価と売上は全く違うので、

検索 アニメDVD・BD売り上げまとめwiki

dvdbd.wiki.fc2.com と www38.atwiki.jp/uri-archive/? の2種類

検索 アニメDVD・BDの売り上げを見守るスレ@wiki

この2つはチェックしておくとレビューの幅が広がるかと。


・社会学的、工学的アプローチ

得意な人はやれば良いと思いますが、あにこれだと若干供給が多過ぎ
な気も。インテリな方々が多いんですよね、ここ。


・原作や声優、監督、スタッフ等からのアプローチ

レビューとしては王道ですけど、それだけに若干供給過多気味。


・笑いに繋げる

笑えるレビューが若干少ない気がする。Amazonの

アニマル ビッグフィギュア【親キリン】(等身大フィギュア)とか
対ライフル用防弾シールド

のレビューでも読んで、そういった方向性で突っ走るのも良いかと。


◆言葉は大事に使いなさい、ユリアン

言葉では伝わらないものが、確かにある。だけど、それは言葉を使い
尽くした人だけが言えることだ。

だから、言葉というやつは、心という海に浮かんだ氷山みたいなもの
じゃないかな。

海面から出ている部分はわずかだけど、それによって、海面下に存在
する大きなものを知覚したり感じとったりすることができる。

言葉を大事に使いなさい、ユリアン。

そうすればただ沈黙しているより、多くの事をより正確に伝えられる
のだからね。


◆ポプラン、シェーンコップ、ムライからの影響

自分の話になりますが・・

・ポプラン、シェーンコップからの影響

この2人私生活が酷い有様でも、年少者に対しては「まともぶった事を
言う事がある」訳で、最低限のモラルは有している。

ヤンや田中芳樹とかはどう頑張っても届きそうには無いものの、この
2人くらい・・には、なんとか、的な気持ちがある。


・ムライからの影響

あんなジジイは嫌いですけど、彼が第39話でユリアンに話していた事
はこれまで迷った時に何度も思い出す事になったし、現在ここまでの
内容を書いているのも、ムライからの影響が大きい。


~ 今だから言うが、私の任務はヤン提督の引き立て役だったのだ。

別に卑下したり不平を鳴らしている訳では無い。ヤン提督は指揮官と
しての資質と、参謀としての才能を両方兼備する珍しい人だ。

あの人に参謀が必要だとすれば、それは他人がどう考えているのかを
知って作戦の参考にする為さ。

だから、私としてはエル・ファシルの英雄に参謀として望まれた時、
自分の果たすべき役割は何かと考えて、すぐには結論を出せなかった。

それが出たのはイゼルローン陥落以後だ。で、私は役割を弁えて殊更
常識論を唱えたり、メルカッツ提督にも一線を引いて対応したりした
訳だ。

鼻持ちならなく見えた点もあろうが、分かってもらえるかな ~


要するに、自分が必要無いと感じた時も「できる事は何か?」を考え、
その役割に徹する、普通は積極的にやらない事をする、という事。

と言ってしまえばどこの誰でも言いそうな話ですが、たまたま自分に
はムライの言葉が強く残っていた。

あにこれに来た直後、自分よりアニメそのものに対しては知識豊富な
人が沢山いる、そんな状況何を書こうか迷った末に、あにこれ全体に
不足していたものを補う役割に徹しようと思った。

その為には、一部から憎まれようが嫌われようが知った事では無い。

という点についは、「あしたのジョー」からの影響もあり、ストレス解消
という意味での利害も一致したのですが・・。


私は役割を弁えて殊更変な視点でのレビューを書きまくったり、人気
作品にも一線を引いて対応したりした訳だ。

鼻持ちならなく見えた点もあろうが、分かってもらえるかな!


2013年夏に復帰した時、今度はレビュアーの質が向上しているという
点に目が行き「自分は何も書く必要なくね?」という状況に陥る。

「私が死んでも代わりはいるもの」じゃねーですけど、現代人特有の
「あれっ、自分いらなくね?」的な捻くれた感じ方は普通にする訳で、
そうすると途端にやる気が無くなる。そして休止。

冬に復帰した直後(つまり現在)もまた同じ事で悩み始めたのですが、
「あにこれがレビューサイトとして正常に機能している」という点では
特に問題は無いものの、

アニメ業界全体は? 萌えエロ産業で、問題だらけ。

レビュアー全体は? 自分と同じように休止する人は多い。

あにこれの細部は? 改善点を上げればキリが無い。

問題点は見えても、不満はあっても、自分にはなんとかする力が無い。

とはいえ、その事をレビューに書くことは出来る訳で、あとはそれを
読んだ力のあるレビュアー(将来的に力を身に付ける人を含め)達に
熱意は伝わる、そしてなんとかしようと活動するかもしれない。

ヤンは民主主義の芽を上手く残した、熱が冷めやすい自分は熱が急激
に上がった際に湧きでたここまでの思考をレビューに残す。

この行為の意義については、後世のアニメ好き達が判断する事さ!
{/netabare}
こちらはアニメ視聴数が100以上、投稿レビュー数もそれなりの人への話。
銀英の話を持ち出しているので、多少のネタバレを含みます。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 88

イシカワ(辻斬り) さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

徹底して高水準を突き詰めたアニメ

記載されているレビューに対する反論・論戦を行いたい人は、メッセージ欄やメールで送りつけるのではなく、正しいと思う主張を自らのレビューに記載する形で行ってもらいたい。したくない時、受諾しない時は以降の文章を読み進めないこと。受諾する方のみ文面を読んでもらいたい。参考になったと思うときのみ、参キューしてほしい。

長期間もののアニメは、作品の中身が真水であることは少なく、水増しが主であるが、銀河英雄伝説はすべて真水である。
それはTVアニメの見逃しによりストーリーがわからなくなり、結果的に重要な回を設けられないという問題点をすべてOVA作品にすることで解決しているからだ。
視聴していない回があるのならば、購入して観ればよい。拠って見逃すことによる混乱は回避された。
過去のネックとなっていた問題が消失したことにより、本編だけでも110話という壮大なストーリーを描ききることが可能となったのである。
今でこそ映像技術の差により粗さが見られるが、OVA作品による手抜きのない画像だけで構成されている。作画崩壊などありえない。
また、当時の著名な声優はほぼすべて登場するため、銀河声優伝説と評される時もある。
要約すると、非常に質の高いSF作品の原作、画質では豊富で潤沢な予算が取れるOVA作品、銀河声優伝説というほどの豪華な声優陣、音楽は重層なクラッシックと、
何一つとして低レベルの要素がない作りになっているのだ。

銀河英雄伝説には名言集ができるほどの名言が散りばめられている。
ネットでは個人的に挙げるものが多くあり、検索すれば簡単に閲覧できる。
その中でも、これから視聴する人に向けて、ヤン・ウェンリーとラインハルト・フォン・ローエングラム、
二人の名言の幾つかを紹介したい。


ユリアン、戦っている相手国の民衆なんてどうなってもいい、などという考えかただけはしないでくれ。国家というサングラスをかけて事象をながめると、視野がせまくなるし遠くも見えなくなる。できるだけ、敵味方にこだわらない考えかたをしてほしいんだ。

        ――――ヤン・ウェンリー――――

法にしたがうのは市民として当然のことだ。だが、国家が自らさだめた法に背いて個人の権利を侵そうとしたとき、それに盲従するのは市民としてはむしろ罪悪だ。なぜなら民主国家の市民には、国家の侵す犯罪や誤謬に対して異議を申したて、批判し、抵抗する権利と義務があるからだよ。

        ――――ヤン・ウェンリー――――

ユリアン、吾々は軍人だ。そして民主共和政体とは、しばしば銃口から生まれる。軍事力は民主政治を産み落としながら、その功績を誇ることは許されない。それは不公正なことではない。なぜなら民主主義とは力を持った者の自制にこそ神髄があるからだ。強者の自制を法律と機構によって制度化したのが民主主義なのだ。そして軍隊が自制しなければ、誰にも自制の必要などない。


        ――――ヤン・ウェンリー――――

人間の歴史に「絶対的な善と絶対的な悪の戦い」など存在しない。あるのは、主観的な善と主観的な善との争いであり、正義の信念と正義の信念の相克である。
一方的な侵略戦争の場合ですら、侵略する側は自分こそ正義だと信じているものだ。戦争が絶えないのはそれゆえである。人間が神と正義を信じているかぎり・・・戦争は無くなるはずがない。

        ――――ヤン・ウェンリー――――


政治の腐敗とは、政治家が賄賂をとることじゃない。それは個人の腐敗であるにすぎない。政治家が賄賂をとってもそれを批判することができない状態を、政治の腐敗というんだ。貴官たちは言論の統制を布告した、それだけでも、貴官たちが帝国の専制政治や同盟の現在の政治を非難する資格はなかったと思わないか

        ――――ヤン・ウェンリー――――

中尉……私は少し歴史を学んだ。それで知ったのだが,人間の社会には思想の潮流が二つあるんだ。命以上の価値が存在する、という説と、命に勝るものはない、という説とだ。
人は戦いを始めるとき前者を口実にし、戦いをやめるとき後者を理由にする。それを何百年、何千年も続けてきた……このさき、何千年もそうなんだろうか

        ――――ヤン・ウェンリー――――

戦う以上、犠牲が皆無と言う事はありえない。だが同時に、犠牲の増加に反比例して戦勝の効果は減少する。
 この双方の命題を両立させる点に用兵学の存在意義があるはずだ。
つまり最小の犠牲で最大の効果を、という事であり、冷酷な表現を用いれば、いかに効率よく味方を殺すか、という事になるだろうな・・・。

        ――――ヤン・ウェンリー――――


軍隊は暴力機関であり、暴力には二種類あるって事だ。
支配し抑圧するための暴力と、解放の手段の暴力だ。国家の軍隊というやつは、本質的に前者の組織なんだ。
残念な事だが、歴史がそれを証明している。権力者と市民が対立した時、軍隊が市民の味方をした例は非常に少ない。

        ――――ヤン・ウェンリー――――


敵の望む事を汲んで乗ってやる、そののち反転。油断した敵を撃破。敵の美点、長所を利用する。敵の思考パターンにそった行動を予測して、その方向にわざと動かしてやる。こちらが一次的に有利になったからといって喜んで動くと敵の策略にはまる。戦略を読め。予測内の思考をするのは凡人。予測を超える思考ができて名将だ。


        ――――ヤン・ウェンリー――――


信念とは、過ちや愚行を正当化するための化粧であるにすぎない。化粧が厚いほど、その下の顔は醜い。
信念のために人を殺すのは、金銭のために人を殺すより下等な事だ。なぜなら、金銭は万人に共通の価値を有するが、信念の価値は当人にしか通用しないからだ。

        ――――ヤン・ウェンリー――――

固い信念なんてもんは かえって信用おけんね。だいたい戦争なんてものは固い信念を持った者同士が起こすんだからね。
正義と信念こそ、この世で最も戦いを好むものだ。

        ――――ヤン・ウェンリー――――

さて、もうすぐ戦いが始まる。ろくでもない戦いだが、それだけに勝たなくては意味がない。
勝つための計算はしてあるから、無理をせず、気楽にやってくれ。かかっているものは、たかだか国家の存亡だ。個人の自由と権利に比べれば、たいした価値のあるものじゃない。それでは、みんな、そろそろ始めるとしようか!

        ――――ヤン・ウェンリー――――


国家が細胞分裂して個人になるのではなく、主体的な意志を持った個人が集まって国家を構成するものである以上、どちらが主でどちらが従であるか、民主主義社会にとっては自明の理でしょう。人間は国家がなくても生きられますが、人間なくして国家は存立しえません。

        ――――ヤン・ウェンリー――――


戦略および戦術の最上なるものは、敵を喜ばせながら罠にかけることだろうね。(中略)種をまいた後、ぐっすり眠って、起きてみたら巨大な豆の木が天にむかってそびえていた、というのが最高だな。 

        ――――ヤン・ウェンリー――――

簒奪(さんだつ)が世襲より悪いなどと、誰が定めたのか。それは既得権を守ろうとする支配者の自己正当化の論理にすぎないではないか。簒奪や武力叛乱による以外、権力独占を打破する方法がないのであれば、変革を志す者がその唯一の道を選ぶのは当然のことである。

       ――――ラインハルト・フォン・ローエングラム――――

奪ったにせよ、きずいたにせよ、最初の者は賞賛を受ける資格がある。それは当然だ。 
……だが、自分の実力や努力によることなく、単に相続によって権力や富や名誉を手に入れた者が、何を主張する権利を持っているというのだ? 奴らには、実力ある者に対して慈悲を乞う道が許されるだけだ。おとなしく歴史の波に消えていくことこそ、唯一の選択だ。血統による王朝などという存在自体がおぞましいと私は思う。権力は一代かぎりのもので、それは譲られるべきものではない、奪われるべきものだ。

       ――――ラインハルト・フォン・ローエングラム――――

運命? 俺は俺の長所によって成功し、自分の短所によって滅びるだろう。運命などに俺の人生を左右されてたまるか。全て、俺の器量の範囲内だ!

       ――――ラインハルト・フォン・ローエングラム――――

私は宇宙を盗みたいのではない、奪いたいのだ。

       ――――ラインハルト・フォン・ローエングラム――――

私に学ぼうと思うな。私の模倣は誰にもできぬ。

       ――――ラインハルト・フォン・ローエングラム――――

体制に対する民衆の信頼を得るには、ふたつのものがあればよい。公平な裁判と、同じく公平な税制度。ただそれだけだ。

       ――――ラインハルト・フォン・ローエングラム――――

ロイエンタール「勝利か死……ですか」 ラインハルト「違うな。勝利か死かではない 勝利か、より完全な勝利かだ」

       ――――ラインハルト・フォン・ローエングラム――――

最も強大で賢明な者が世を支配すればよい。政治体制はどうでもよい。

       ――――ラインハルト・フォン・ローエングラム――――

私は覇者たろうと志してきたし、それを実現するためにひとつの掟を自分自身に科してきた。つまり、自ら陣頭に立つことだ。
かつて戦って倒してきた能なしの大貴族どもと私が異なる点はそこにある。兵士たちが私を支持する理由もだ。
戦うにあたり、卿らにあらためて言っておこう。かつてのゴールデンバウム王朝の過去はいざ知らず、ローエングラム王朝あるかぎり、銀河帝国の軍隊は、皇帝が必ず陣頭に立つ!
ローエングラム王朝の皇帝は、兵士の背中に隠れて、安全な宮廷から戦いを指揮したりする事はせぬ!
卿らに誓約しよう、卑怯者がローエングラム王朝において、至尊の座を占めることは、決して無いと!

       ――――ラインハルト・フォン・ローエングラム――――


追記
レビューに記載された言論を規制したい人は、個人の意見を以てするのではなく、あにこれの法的論拠に基づいて規約に記載する必要がある。
運営諸氏に連絡し、説得し、規制を規約に付け加えてもらうこと。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 50

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

ウマ娘と海外の反応のせいで周回すること度々。古典に相応しいエンタメとテーマ性のバランス。

長大な戦記であり、魅力的なキャラを奇跡の超豪華声優陣が演じた歴史的な傑作である本作ですが、そういった甘味以上に重要なのはその民主主義に対する思想性であると私は思います。


コロナの混乱だけでなく、現在の日本は大変な状況です。愛国の名の元に行われる右傾化、年間何万人という自殺者、表向きは健全をうたいながら横行している弱肉強食と自己責任論、不誠実な政治に対する忖度と無気力。


自由民主主義は聞こえはいいですが、国民各人がそれを健全に維持する責任と義務を怠れば簡単に腐敗する。まさに、作中の自由惑星同盟の衰退ぶりを指摘していたヤンウェンリーの言葉が今ほど現実の物になっている時はないでしょう。作中の数々の箴言を単なる言葉にせず、胸に刻んで各人ができる範囲内で精一杯のことをやらなきゃならない時が来ているのかもしれません。


「政治家の仕事なんてせいぜい税金の公平な再分配と、国民の生命と生活を守ることぐらいだよ」


「この世ので何が一番恥知らずで醜い行為か?。それはありもしない愛国心で大衆を煽って犠牲にし、自分達は安全圏で利益を貪ることだ。」


マジな話だけでは本作の魅力は語れないのでキャラ萌えな部分にも少し触れます。私の好きなオーベルシュタインは、おそらく明治の三傑の一人である大久保さんに、ナポレオンの獅子心中の虫にして一番頼りにしていた陰謀家ジョセフフーシェを一摘まみ足したような人物です。故に、愉快で原色で描いたような本作のキャラクターの中で、複雑で決して安易に親しみ難い人物です。


陰謀家で秘密主義者、それでいて無私で徹底的な合理主義者、誰からも嫌われながらもその有能さと国家に対する無私さで一目おかれる男。複雑微妙で、決して最後まで解き明かされない謎を残して去っていく姿は、他の作中キャラの劇的な死とは対称的ながら違った尊厳があります。


そんなロボットのような冷たい人間でありながら、企らまざるどこか皮肉なユーモラスさと魅力を備えているから実に忘れがたい大好きなキャクターなのです。なにより塩沢さんボイスが最強。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 31

76.9 3 クラシック音楽アニメランキング3位
のだめカンタービレ(TVアニメ動画)

2007年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (726)
4283人が棚に入れました
天才と称される音大生・千秋真一は、世界的な指揮者を目指すも様々な壁にぶつかり将来を思い悩む日々が続く。
すっかり自暴自棄になっていたある日、千秋は一風変わったピアノソナタを耳にしながら目を覚ます。
そこで千秋が目にした光景は、ゴミだらけの部屋でピアノを弾く野田恵(通称:のだめ)だった。
のだめとの出会いで、エリートコースを歩む千秋の未来が少しずつ不協和音を奏ではじめる。

声優・キャラクター
川澄綾子、関智一、小川真司、川田紳司、織田圭祐、生天目仁美、松風雅也、小林沙苗、中井和哉、諏訪部順一、能登麻美子

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

クラシックなラブコメ

音大が舞台のラブコメです。
堅物指揮者の千秋と野生児ピアニストののだめの出会いと成長物語です。
脇役陣も個性的で、この作品に華を添えます。

特別大きな事件はありません。
が、所々に感動的な場面を散りばめながら、ナチュラルかつドタバタと物語が進行します。

クラシック演奏は、画像演出や楽器演奏時の詳細描写により、臨場感があります。
アニメならではですね。

個人的余談。
大学時に好きだった娘に影響され、クラシックをよく聴きました。
とくに、ベートーベンの交響曲第七番には思い入れ大です。
今となっては、甘酸っぱい思い出ですが・・・。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 38

ビタミン700 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

モーツアルトはピンクだけどス○トロw

なんて、無駄なマメ知識まで詰まったアニメw

以前、たぶん三谷幸喜だったか「泣かせるのは簡単。しかし笑わせるのは大変」と作品製作について語っていました。
すごく納得したのを覚えています。
コメディ上手い人は、人が死ななくても泣ける。

そしてそれを踏まえた上で、のだめは面白い!
会話のテンポ、言葉遊び、言葉選び、距離感、空気感、音楽の天才で愛すべき変態w
原作も大好きですが、音楽が実際にあるアニメも何度の見たくなります!

その他の日常部分も、ある意味手抜きのない手抜きだらけの生活が、まったく飽きずに展開されていきますw

投稿 : 2024/12/28
♥ : 17

じぇりー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

やっぱり、音楽っていい

音大を舞台にしたコメディータッチのアニメ。主人公の「のだめ」は、ピアノ科に通うマイペースで天然かついい加減な、どちらかといえば天才肌の女の子。
それに対し、のだめが恋する先輩・千秋真一は努力家で研究熱心、優等生タイプの指揮者。
そんな凸凹コンビが織りなす、音楽に満ち溢れたドタバタだけど感動のストーリー。

クラシック音楽を知らなくても、オーケストラというセッションがもたらす高揚感みたいなものが生き生きと伝わってくる。
また、のだめの弾くピアノが譜面通りではないデタラメでも、それが本来の音楽の姿なのかも、と思わせる無邪気さも良い。

設定上仕方のないこととはいえ、オーケストラには参加できないのだめと、オーケストラを指揮する千秋のストーリーがバラバラに展開していったのは少々残念だ。
さらに、どの楽器においても演奏シーンの指の動きがCGに切り替わるのが分かりやす過ぎた。アニメーションがせっかくのクラシック音楽を表現するのについていけていない感じがした。
特に、千秋の指揮の動きが彼の指揮者としての成長を感じとっていくことが出来ないほど、うまく描かれていない点が最も残念だ。
あとは、「音楽」をテーマにしている作品であるにも関わらず、OP/EDテーマのクォリティも今一つといった感じだ。

…と、不満を書き連ねてしまったが、ストーリーやキャラクターは文句なしに面白い。
硬くなりがちなクラシック音楽の世界に入り込みやすいよう、キャラクターの個性がそれぞれ際立っていて、心理描写も巧みに描かれている。大抵がギャグなのだけれども、ほろり、とくる場面もあったりしてうまく緩急がつけられている。
ストーリーも、前述の通りのだめ編と千秋編とを分けて見てしまうことにはなるが、「音楽」に向き合う姿勢が正反対の二人が、それぞれの道を模索しつつ成長していった先に待っていたラストは微笑ましい。

音大を卒業した後の厳しい世界、プロの世界はそう甘くないという現実がありつつも、そんなことを忘れさせてくれるワイワイとしたキャンパスライフを描いた本作、少女漫画原作だが、万人受けする良い作品なのではないだろうか。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 7

75.4 4 クラシック音楽アニメランキング4位
スーパーカブ(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (484)
1395人が棚に入れました
山梨の高校に通う女の子、小熊。両親も友達も趣味もない、何もない日々を送る彼女は、ある日中古のスーパーカブを手に入れる。初めてのバイク通学。ガス欠。寄り道。それだけのことが新鮮で、ちょっと冒険した気分。仄かな変化に満足する小熊に、バイクは人とのつながりも生み出していく。小熊と同じ、バイク乗りの少女・礼子や、バイクに乗って変わっていく小熊に憧れる少女・椎。小熊の世界は少しずつ、広がっていく。友達と一緒の昼ご飯。当てもなく寄り道する放課後。バイクでしかできないアルバイト。そして、これからもバイクと生きていくために少女が選ぶ進路。

声優・キャラクター
夜道雪、七瀬彩夏、日岡なつみ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

本作が第6話を機に炎上?している理由を細かく解説します

山梨県北杜市を舞台に、両親も友達もお金も趣味もない高校2年の少女、小熊ちゃんが1台の【ホンダ スーパーカブ】と出会ったことをキッカケに彼女の世界が少しずつ開けていく様を描く全12話の青春ドラマ
原作はカクヨムを発端とするトネ・コーケン先生の同名の小説
本作の第6話がプチ炎上騒ぎとなってしまった件について、細かく解説させて頂きます


修学旅行を楽しみにしていた小熊ちゃんですが急な発熱で欠席せざるを得なくなるも、すぐに体調は回復
バスで先に出発した学校側には相談せず、愛車のカブで追走
そして宿泊先の鎌倉に乗り付けてしまいます
当然先生からは厳重注意を受けるも、小熊ちゃんとカブをキッカケに友人となった礼子は用意周到にもヘルメットとタンデムステップを取り出し、憧れていた鎌倉湘南の海岸線沿いを通る国道134号線を小熊ちゃんのカブに2人乗りして走る、というちょっと不良染みた行いを提案するのです


修学旅行に原付バイクで乗り付けたり、そこからさらに抜け出して2人だけの自由行動を取る、というだけで十分常識からは逸脱した行動なのですが、問題は小熊ちゃんが運転して2人乗りをした、という事実です


この話の冒頭で本来のエンジン排気量が49㏄である小熊ちゃんの愛車は、52㏄へと改造が施され、原付一種から原付二種に登録変更をした、という旨が語られています
ナンバープレートも白から黄色に変わっている等、細かい点も再現されています
原付二種になった事のメリットの1つとして、2人乗りも可能になります
ですので車両の点では問題は無い様に見受けられます


ですが2人乗りをする為には“免許取得後1年以上”という条件が実はあるのです
免許取得の為のテストにも出ますし、教習所でも教えてくれます
小熊ちゃんが普通自動二輪の免許を取得したのはこの改造の直前、という事でかなり甘く推察してもせいぜい数ヶ月しか経過していなく
「これは道路交通法違反だ」
と指摘する視聴者も少なからずいたわけです


この案件に関して
「フィクションの中で描かれている事なので騒ぎ立てる必要はない」
と作品側を擁護する意見もあれば
「非日常や異世界を舞台にしたものならともかく、現代劇で堂々と法を無視するのは如何なものか?」
と否定的な意見もあり、正に賛否両論です
ネットニュースで取り上げられたり、便乗する形でワイドショーでも紹介される等、作品側にしてみれば不本意な広まり方で話題になってしまいました


正直、白昼堂々と黄色ナンバーで2人乗りをしている女子高生をわざわざ呼び止めて免許を確認する警察官などいないでしょう
ですから“捕まりはしない”という確証は小熊ちゃんと礼子にはあったと思います


肯定派も否定派も各々の言い分にちゃんと正当性があると思いますが、ちょっと別目線で何故これほどまでに本作が波紋を生んでしまっているのか?
について3つほど持論があるのでそれをご説明します


①【アニメ側の説明不足】
実は原作小説では小熊ちゃんが2人乗りに関して道交法違反になる事を認識していて、2人乗りを渋る一節があります
この時の礼子はこの1話手前のお話で愛車を失ってしまっており、そんな礼子を慰める為に違反を承知で2人乗りをしよう、と決意する小熊ちゃんの葛藤が描写されるのです
ところがアニメではそんな小熊ちゃんの迷いは特に描かれませんでした
主観で描かれる原作小説に対して、アニメ版ではモノローグを各話の冒頭と末尾に絞り、空気感やテンポ感を大切する構成を強調しています
この第6話のクライマックスとなるシークエンスにおいてテンポが大事と取るか、安牌として野暮でも説明台詞を入れるか、と考えて前者を取ったのが本作というわけです
あえてあそこで説明を入れておけば・・・100歩譲って9話のノンアルコールカクテルのくだりの様にテロップで注釈を入れていれば・・・批判意見の態度もまた違っていたと思います


②【本作をほんわか美少女日常系アニメと認識している視聴者が多過ぎる】
正直、本作は流行の日常系アニメとは違います
確かに表面上だけなぞればそーゆー類の作品にも観えなくもないですが、物語を深く読み込めば読み込むほど本作の登場人物は所謂“アウトロー”であることが理解できます
小熊ちゃんはそもそも友達が全くいませんでしたし、礼子はコミュ力があるだけでその実は自分とカブ以外に興味が無いというかなりの変人です
そんな2人の変わり者の非常識な青春が描かれるのが本作なのです
もしこの物語が女子高生2人組ではなく『特攻の拓』とか『あいつとララバイ』だったら誰もが笑って許した事でしょう
実はトネ先生の原作小説に限らず、片岡義男作品にしろ山田深夜作品にしろ、バイクに乗っている若者というのは“多少のハミ出し者”として描かれる傾向にあります
トネ先生もそんな伝統的な“不良の青春”を描きたかったのだと思います
そう考えると小熊ちゃんや礼子がいくらエキセントリックな行動を取ったとしても納得がいくでしょう
彼女達は法を破る事への後ろめたさは感じていても、周りの目などは気にしていないのです
ですがその点が多くの視聴者には伝わっていない、誤解を受けているというのが現状だと思います


③【原作者トネ先生の執拗なコダワリに違和感を覚える人も多い】
どんな作品でもアンチとは出てくるものですが尖っている作品であれば尚更の事です
正直に言って本作、物語そのものの魅力は別にして、トネ先生のコダワリが強過ぎて一部でアンチ化してしまった視聴者もいると感じてます
例えば第1話でバイク屋のお爺さん(シノさん)から曰く付きのカブを1万円で購入する小熊ちゃん
ですが、ヘルメットとグローブを持っていない事を見兼ねたシノさんがキャンペーンの品だとアライヘルメットのクラシックヘルメットとグリップスワニーの本革グローブをプレゼントしてくれます
本来は新車を購入した人を対象にしたキャンペーン・・・であるのにシノさんの過剰なサービス心が施した事であるのは言うまでもないです
ですが2つ合わせて新品で3~4万円もするハッキリ言って高価な品です
1万円のカブに乗る貧乏学生にはどう考えてもオーバースペック
これはトネ先生が登場人物の扱うプロップ(小物、アイテム)には自身が認める一流品を使ってもらい、作品を通してその逸品の素晴らしさを伝えたいとお考えだからです
先述のヘルメットとグローブの様に原作で細かく描写される品はもちろん、アニメ化に当たってかなり細かく実在の品がプロップとしてトネ先生から直接の指定されてるようです
アニメ化に全く口を挟まない原作者もいる一方で、トネ先生はとにかく自身で細かく設定したがる方という事なんですね
問題は貧乏学生の話なのか高級品の性能をアピールしたい作品なのかブレてしまっているという事です
例えば『ゆるキャン』という作品ならば女子高生なのでお金が無い、お金が無いなら無いなりに何か工夫をしてみよう、という話になったりするのですが本作はそういう方向へは話を広げません
トンデモナイ高級品がひょっこり出てきてなんやかんやで手に入ってしまいます
コダワリもここまで来ると考え方に隔たりを覚えてしまい、作品への没入感を阻害されてしまって結果的に、ではありますがアンチ化してしまった人もいると思います
特にバイク界隈に詳しい人ほど本作への評価は分かれているようです
オイラもシノさんが「100km走ったらオイル交換に来い」と言ったのには耳を疑いましたね
本来は最初のエンジンオイル交換って1000kmまでしなくて良いんです
メンテナンスサイクルってプロでも意見が分かれるところなんですが、本作はカブの産みの親である本田技研の監修もちゃんと入っています
それにも関わらず本田技研がやらなくて良い、と言ってる過剰なメンテをしているわけです
少し話が逸れましたがこういったトネ先生自身のコダワリで没入感を削がれてしまった人ほどアンチ化して否定的な意見を飛ばしてるようにも感じます


とまあ以上の3つの点から解るのは本作がとても“尖った作品”だという事です
先鋭化した作品であればあるほど賛否が別れるのは致し方ない事ですが、そこに火種となる第6話の2人乗りの案件が投下されてしまったというわけで、プチ炎上は起こるべくして起こった、とオイラには受け取れるんですね


ちなみにそんな騒ぎなど些細な事だとも言うように第10話では(私有地の中とはいえ)ノーヘル走行をしたり、第11話では(救命措置とはいえ)前カゴに人を乗せて走ったり、どんどん小熊ちゃん達の行動は過激になっていきます


つまり“付いて来れる人だけ付いて来い”というのが本作の最もたるところなのでしょう
本作の終盤では人畜無害を形にしたような少女、椎ちゃんが“不良に憧れる少女”のポジションとして登場し、アウトローな小熊ちゃんと礼子に少しずつ惹かれていきます
果たして椎ちゃんはこの無茶な2人に付いて行くのか否か?
そんなところに着地するのが面白いのです

投稿 : 2024/12/28
♥ : 35

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

道具と仲間と広がる世界。厳しい冬から春を迎えに行きます。

 この数年のTVアニメの中でもっとも面白い作品の1つだと思います。結局小説は全巻揃え、コミックスもコンプリート中です。アニメの本作は多分通しで4回くらい、単話ごとなら数知れず再視聴していると思います。

 本作は1話目が非常に秀逸で、文学性すら感じさせます。ヒロイン小熊を取り巻く白黒の世界、一人の世界、金も物もない。

 ある日通学に苦労していた時、偶然見た原付バイクがきっかけで、行動しようと思う。バイク屋の親父と出会い、1万円のカブを手に入れる。苦労も恐怖もあるけど、それを乗り越えることでやれることが広がって行く。
 ガソリンが無くなるということも分からない。けど、マニュアルを読むことで解決します。

 礼子というカブ仲間ができます。初めは慣れあいのような関係になるのが、ちょっとイヤな気もしますが、「カブつながり」がその根底にあります。それが精神的な依存関係にならない原因だと分かってくると、2人の関係性が心地よくなります。

 礼子が一人暮らしをしているのは、富士山に登るのも閉塞感に押しつぶされそうだからです。5話は唐突だし作画も少し悪いので、1回目はあまり出来が良くないなあと思いましたが、礼子というキャラが見えてくるとなかなかの感動回となります。

 アルバイトをして物が買えるようになる。修学旅行への参加。法律違反が云々という批判もありましたが、青春時代にちょっとした悪さをするのもまた冒険です。修学旅行にバイクに行く、県境をまたぐ、山から海へ、富士山に登る、礼子に対するちょっとしたいたずらで134号を走る。そして2人乗り。どんどん世界が広がります。

 そして文化祭です。ここで小熊は初めて礼子以外の自分からクラスの人間に関わります。もちろんカブの力を借りて解決します。ここで椎という仲間を得ます。

 冬は寒さという足枷がカブにのる小熊と礼子を苦しめます。対策することで何とかします。ここでも工夫、道具というものがクローズアップされます。

 後半はこの椎と言うキャラが重要で、自分の夢をかなえたいとがんばっているキャラです。が、力がありません。あるいはカブがない、と言い換えてもいいかもしれません。親の元ではハキハキてきぱきと自分のやりたい事をどんどん進めてゆきますが、結果として彼女は何も持っていません。

 椎の冬の川への転落です。山地での雪の時期。冬が心底嫌になります。椎も含め冬に苦しめられていた3人は、冬がいやなら春が来ているところまで行けばいい。冬に対応するだけでなく、世界を広げ自分が望んだ場所に出かけてゆきます。

 という感じで、独りぼっち、貧乏、足がない、盆地、山地の冬といった、女子高生…思春期の無力で非力な存在を閉じ込めていたものを、カブという道具で自ら変えて行く話です。

 パンク少年の話とか、礼子の富士山に登る理由とか原作にはあって、アニメで描かれていない部分がありますが、1話はあらゆるアニメの中の1話としては、最高だと思います。1話のピアノと色彩の使い方、ゆったりしたセリフ。最高の演出でした。そして、11話と最終回も感動でした。

 OPの音楽がとても雰囲気がいいです。本編で無音の時間が長いのも雰囲気を作っています。話が進んでゆくごとに色彩が増えて行くような感覚がとても心地いいです。
 若干、作画が乱れる回がある以外はほぼ原作の内容を再現できていると思います。

 リアルタイムで視聴しながら書いた各話ごとのレビューや追記など、ごちゃごちゃしている作品をまとめ中です。主旨はほぼ変えていません。本作は3回にわたって書いた内容を、23年6月にまとめました。
 評価は4.7→4.8と上方修正です。本当は5付けたいんですけど、時々乱れる作画がなあ…

投稿 : 2024/12/28
♥ : 35
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

静謐

<2021/8/13 追記>
下の方に書いた小熊さんにちょい似のYouTuberさんがハンターカブ購入してました。
まんま小熊さん 笑

<2021/4/11 初投稿>
見始めなので評価はデフォルトの3.0。
原作はラノベでしょうか。
未読です。

タイトルのとおり「静謐」な空気感がたまらない作品です。
背景の野山や田舎の街並み、そして建物や部屋の調度品といった背景の深閑とした佇まい。
さながら写真を見ながら描いた写実画のようです。
(もちろん、ところどころCGっぽさはあるものの)

ヒロインは、「何もない女の子」
1話の冒頭、「何もない」が無言で語られていきます。
この子の生い立ちとか気になる、けどそれはこれから語られるのでしょう。

そんな女の子が{netabare}一万円で売られているスーパーカブ{/netabare}と出会うところから物語は始まります。

安い理由は{netabare}「三人が死んでるから」{/netabare}

{netabare}バイクで人死には珍しいことじゃなくて。
四輪と違い、バイクで事故ったら
「運が良くて大怪我、運が並なら死」
という感じです。
保険の仕事してるとそれが本当によくわかります。
バイクは本当に怖いです。
だから自分はバイク乗らない。
{/netabare}

閑話休題

{netabare}
でも三人は多いですね。
そんなわけありスーパーカブと、
なにやらわけのありそうな女の子
{/netabare}のお話。

今期、ゴジラSPと同じくらい、次週が気になる作品になりそうです。

<2021/5/14 追記>
6話まで見ました。
湘南道路懐かしい。
夏にドライブすると堪らないんですよね。
私は4輪でしたが。

小熊さんはどんどん変わっていきますね。
いい笑顔がたくさん。
「にへっ」という擬音が聴こえてきそう。

{netabare}修学旅行先へ向かってカブで疾走する小熊ちゃん。{/netabare}
まるで「究極超人あーる」の登坂先輩のよう。
登坂先輩とは、後輩の修学旅行先の「京都へ」「東京から」「250ccのバイクで」「毎日」「日帰りで」「なんの用事もないのに」遊びに来る迷惑な方です笑

ところで礼子さん。
いいキャラしてますね。
自分の趣味に躊躇ない。
躊躇ないのは小熊さんも同類ですが。
礼子さんで「かみちゅ」のまつり(三枝祀)を思い出しました。
見た目も似てるんですけど、
目的のために手段選ばなさそうなところとか。
あと、やけに堂々とした図太い仕種とか。

そういえば小熊さんはまつりの妹の三枝みこにちょっと似てるような気もしないでもない。

6話まできたのでとりあえず評点つけてみました。
背景含む絵と、キャラと、音楽は満点になりました。

<2021/6/24 追記>
最終話まで観ました。
徹頭徹尾カブでしたねえ

趣味に突っ走るのって楽しいんだろなー、と思いながら楽しんで見てました

「ていぼう日誌」のレビューにちょっと書いた巨大ウツボ釣って捌いて喰らうYouTuberさんに小熊さんが少し似てる。
髪型や目元と、あと自分の趣味に傍若無人に突っ走るところとか

でもそのYouTuberさんはもっと明るいし、もっと愛想あるし、シュールな笑いも振り撒くけども
あとカブじゃなくて、釣りと四輪車中泊と猫だけども

そういや本作にも頻繁に出てきるメスティンってこのYouTuberさんの動画で初めて知ったんだった
メスティンで作るお手軽ハンバーグ丼が旨そうでした

あと礼子
やはり「かみちゅ」のまつりに似てるなー
めちゃくちゃ似てる
そう考えると懐かしいっすね

自分は全般的に本作楽しめました

とか書きつつ他の方のレビュー読んだら厳しめの批評多いんすねー笑
アニメは創作物、あんまり気にしすぎると見るものなくなっちゃうから私は気にせず楽しんでます。。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 58

69.1 5 クラシック音楽アニメランキング5位
のだめカンタービレ 巴里編(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (391)
2166人が棚に入れました
千秋とのだめは、音楽留学のためパリへとやって来る。飛行機恐怖症を克服して、久しぶりに戻って来たパリに感慨深くなる千秋。
パリでの住処であるアパルトマンで二人を待っていたのは、のだめと同じ国立音楽大学ピアノ科に在籍するオタクのフランス人、フランクと派手な外見のロシアンギャル、ターニャだった。

声優・キャラクター
川澄綾子、関智一、松風雅也、大原さやか、伊藤静、浅沼晋太郎、日野聡、森川智之、清川元夢

しょうすけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

1期からの勢いで。。。

ストーリー的には1期のが充実してた感はあるんだけど。。
音楽も1期のが良かったかなw
でも続きみたくて止まらなくなりますねw
楽器弾けるなら自分もやりたくなるんだろうけど弾けない悲しさorz
でも弾けなくても感動しまくれますよ(・ω・)bグッ
もっと小学生とかに見てれば人生変わっちゃったかもだなw
きっとそんな感じで音楽やりたい病を発症した人が一杯にしちゃった まぁうっとり感動系なアニメですねw

投稿 : 2024/12/28
♥ : 3

こたろう さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

年貢を納めて変態の森に

舞台を日本から海外を移しての第2期。
のだめと千秋、2人の主人公の成長と進展を描いたクラシック音楽アニメです。
パリを拠点に指揮者としての名声を固めていく千秋と、真剣にピアノに向き合う事を決めたのだめの恋にも注目です。
人気を博したTVドラマは、アニメの1期にあたるところまで。(巴里編以降はTVスペシャル版と実写映画になっています。)
ヨーロッパでの活躍を詳しく描いたのは、アニメの2期、3期となります。


外国に舞台が移ったからといって、作風は変わらず「のだめカンタービレ」です。
コメディチックな雰囲気は崩さずも、その中で音楽家としての苦悩や成長を表現しているところは同じ。
生真面目で努力家、何でもソツなくやり遂げてしまう千秋と、持ち前の才能と行動力で前に進んでいくのだめの、イビツでありながら分かち難いいカップルが音楽家としてどう変わってくか。
その軌跡を辿っていくストーリー。
2人ともある種の天才なので、挫折や障害にぶちあたってヤキモキするのではなく、課題や難関をこの2人がどう突破していくか、そういうのを見るのが楽しい作品です。
天然なようで、色々感じたり考えたりしているのだめのキャラも際立ってきています。ただの変態じゃないッスねw

1期で残念だった作画も、この巴里編では改善されています。
ちゃんと演奏の動きが付けられたアニメーション。前作と違いオーケストラを描く機会が減って、ビアノ演奏の場面が増えたので、ラクになった・・・というのは失礼な言い草ですが、ちゃんとした動画を作る余裕ができたという事でしょうか。
少なくとも、「止め絵ばっかり目立つ」という印象は無くなりました。
オーケストラでも、ちゃんと演奏家のひとりひとりが”動いて”います。


恋の物語としても進展がちょっぴり。
既に相思相愛な状態で巴里に来ていた2人ですが、最初から女房気取りののだめの事はおいて置いて、いよいよ千秋が変態の嫁の尻に敷かれる覚悟を決めたお話・・・・といってもいいでしょうw
喧嘩しても、普通の少女マンガみたに深刻なドロドロにはならない。むしろ壮快に二人の絆が深まっていくので安心感があります。
恋愛物語として盛り上がりに欠けますが、恋のライバルっぽいのが現われても、まったくモノともしないのがむしろイイと思えます。この作品に限っては^^


それぞれの音楽に向き合う凸凹でお似合いな2人の物語。
1期に引き続き、歌うように楽しく(カンタービレで)ご視聴頂ける作品です。
オススメ!

投稿 : 2024/12/28
♥ : 15

sobako777 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

キャラもストーリーも展開も魅力的! 見直しても面白い傑作人気作品!

キャラもストーリーも展開も更に魅力的になり、原作に負けない高いクオリティーを見せている巴里篇! フィナーレ篇への足がかりとして見れば、最終話の物足りなさも納得がいくし、まず文句なし。それに、楽器を奏でる指先の動きが凄い! CGとはいえ特有の不自然さはなく、特にピアノは、そのなめらかな動きにクリエーターたちの意地がミシミシと伝わってくる。このところ毎週のように何度も見直しているが、飽きるどころか毎度引き込まれる凄い作品だ。もしかしたら、これを観た何人もの少女たちの人生を変えたかも・・・。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 4

73.5 6 クラシック音楽アニメランキング6位
プリンセスチュチュ(TVアニメ動画)

2002年夏アニメ
★★★★★ 4.1 (197)
1051人が棚に入れました
金冠町という町の金冠学園バレエ科の落ちこぼれ生徒・あひるは、憧れのみゅうと先輩といっしょにパ・ド・ドゥ(男女がペアを組んで踊ること)を踊るのが夢。
人の心を持たず、いつもさみしげなみゅうとの役に立てればと願うあひるに、謎の老人ドロッセルマイヤーが力を授け、あひるはプリンセスチュチュに変身して、みゅうとに失った心のかけらを返してあげることができるようになった。

声優・キャラクター
加藤奈々絵、矢薙直樹、櫻井孝宏、水樹奈々、松本さち、白鳥由里、松本保典、岸田今日子

魔女旅に出る さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

大人も子供も楽しめるファンタジーな物語

バレエ学校に通う少女が魔法少女になってバレエダンスを踊り人々を助ける物語です。一見、子供向けに見えますが蓋を開ければ謎が謎を呼ぶダークストーリーでもあります。実は彼女の正体は・・・本編を観てからのお楽しみです。第一は内容がぶっ飛んでいますが徐々になれてきますので、足切りせずに3話までは見てくださ。徐々にプリンセスチュチュの世界にハマっていくと思います。個人的にまどマギを視聴した方に全力で進めたい作品です。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 63

マジ天使 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

芸術作品のようなアニメ

物語と現実が入り混じった街の、不思議でせつない童謡のような話。
バレエを軸に面白い話が作れるのかと不安でした。また、1話目ではなんの説明もなく話の中に放り込まれたような感じになり不安な印章を与えてくれましたが、視聴し終わってみると「なるほど」と言ったところ。
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心をなくした王子様。結ばれないと結末を知りながらも錯誤するプリンセス。王子を守りたいゆえに物語が進むことを恐れる騎士。王子を愛する我ゆえ悪役になりきれないカラス。
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この4人の役柄がメインなのですが、もとは「チャイコフスキー」の「白鳥の湖」を元に作られています。
オデット(白鳥)オディール(黒鳥)の使い方や、劇中に使われるクラシック音楽など綿密に理解して作られているスタッフの「こだわり」が見える作品でした。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 15
ネタバレ

芝生まじりの丘 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

面白い、のだが、、でも面白い。

さっと視聴しきって感想書く予定が途中で何度かだれて、最初の方の印象忘れてきたので、とりあえず、書けるうちに途中までの印象を書きます。(~20話まで)

【対象年齢】
他の方も書いているが、児童向けアニメと侮って見ると面食らう。確かにこれは子供を対象にしたアニメだ。毎話"お話の好きな子供はよっといでー"と明言されているし。しかし、子供心に帰った大人たちこそ、この"子供"の指す1番の対象ではないか。

ただ、、ジブリのような全年齢に適性があるアニメではない。「これは子供向けではないだろう」、と感じるこだわった演出、脚本を随所に垣間見る一方で、あまり内容のない(自分にとっては)平凡なつまらないエピソードも少くない。その曖昧な立ち位置ゆえに、誰に見せようと作品を作っているのか、対象を見失っている時があるように思った。


つまらない話が続くと、(特にこの作品はわりと1話完結型ではないので)本当に視聴意欲が失せる。それがず随分とだらだら見ている原因だ。

ちなみに子供向けではないという発言で誤解をまねきかねないが、躍動的で壮大な物語があるというわけではない。ストーリーの大枠はむしろ伝統的なのであり、そこが問題なのだ。



【物語という"形式"への愛】
この作品は、物語の内容のみでなく、物語の"形式"の伝統への深い愛情を感じる。ここで、内容というのはストーリーのリアリティとか構成とか、臨場感とか、感動的かとか、そういうことで、形式というのは、それを生み出すための技術である。
 例えばこの物語のテーマは"バレエ"で、これこそ伝統的な物語の形式の一種である。劇中では、各話必ず一切のリアリティを度外視して、物語の舞台がバレエに置き換えられる(実際に見れば何を私が言っているか得心がいくはず)。バレエの諸要素はリアリティよりも感情を視聴者に伝えることに重点をおいている。そしてさらにこの作品ではバレエを、心情を伝える技術として使っている、というよりもバレエの形式への愛着ゆえに使っているのである。
 他にもリアリティより文脈、物語の"お約束"というものを重視した演出、ギミック、キャラクタは多く登場する。ストーリー自体、実に"お約束"を意識したものである。
 さらには、物語の外側と内側の曖昧な位置に視点をおいた人物(ドロッセルマイヤーなど)を配置し物語自身について語らせていたり、各話はじめにその話の内容と関係あるような架空の童話を紹介したり...
 結局のところこのアニメは物語に捧げられた物語であるのだと思う。


【クラシック音楽】
 自分は少しクラシック畑の人間なのでクラシックが流れるだけで嬉しい。この作品はなんといってもクラシック音楽が目白押しなので、嬉しかった。特にもともとバレエ音楽や小説を表題とした音楽を流用しており、ストーリーの起伏にうまく添っているように思った。他のアニメでももっと使ってくれえ。


【お約束の繰り返し】
物語の形式を重視していると書いたが、作品内でも、数々の"お約束"を実際生み出している。一話完結なため、なんとなく各話のストーリー展開の骨子はわかりきっているし、繰り返されるギミックが多い。くどい繰り返しには若干、飽きを感じる時もあるが、徐々に変化を加え、それを抑えている。


【総評】
こだわりを持って作られたことのわかる素晴らしい作品。ただそのこだわりがどこかに消えてしまったような内容のない話も少なくない。
それがこの作品を手放しに褒めることを邪魔している。

...でもやっぱり面白い素敵な作品であると思います。


-------------------------
【追記21~26話について】
21~24話にかけての盛り上がりは素晴らしいと思った、ただ一方で、25,26話の終わり方は賛否両論なのも頷けるかな、と感じた。
卵の章の終わりは、童話的なスタイル、バレエ、などが話とうまく溶け合ってよかったですが、雛の章では、それがうまくいっていないように感じた。
高められてきた筈の緊迫感と、物語の動き、童話的演出がかみ合っていないせい?単純にシナリオが中途半端?
いくつか良い部分もあったものの、全体として陳腐な印象を受けた。
{netabare}最終盤はシナリオから解かれて真の感情、真の情熱を取りもどす話であった筈なのにむしろ、登場人物たちは物語に囚われ生気を失ったような気がした。{/netabare}

物語としては卵の章の方が全体的に好きかな。よくまとまっている。雛の章は悪くない部分もあるけど玉石混淆に感じた。特に最終盤に不満があるのは物語として致命的。
ただそんな欠点を知った上でもこの個性的な作品は一見の価値ある作品だと思う。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 7

65.9 7 クラシック音楽アニメランキング7位
ピアノの森(アニメ映画)

2007年7月21日
★★★★☆ 3.8 (189)
1221人が棚に入れました
町外れの「ピアノの森」で育った少年カイの物語。はじめは楽譜すら読めないカイが周囲を取り巻く人々によりピアニストとしての才能を開花させていく過程を描いている。
主な登場人物 [編集]

声優・キャラクター
上戸彩、神木隆之介、池脇千鶴、福田麻由子、宮迫博之、田中敦子、松本梨香、田中真弓、天野ひろゆき、ウド鈴木、黒沢かずこ、高田純次

しょうすけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

DVD買いたくなる一作ですd(゜ー゜*)ネッ!

森に捨ててあるピアノをオモチャみたいにして育った天才小学生と幼少からピアノの英才教育を受けて育ったエリート小学生の物語…
まぁのだめみたいな感じかな。。。(あ 禁句を…orz
でもいっぱい感動出来て感涙シーン満載でした_(^^;)ゞ

音楽が良いとやたら感動してしまいます^^;

漫画じゃこの後も続くので是非、漫画も読んでみたいです♪
でもやっぱり音楽ないと寂しいので出来れば劇場版2期を…
プリーズ!

投稿 : 2024/12/28
♥ : 5

. さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ピアノに選ばれた少年の物語

全編に美しいピアノの音色が響き渡る、とても素敵な作品です。音楽好きの方ならピアノの音色に心奪われ、そしてそうで無い方もこの音色にはきっと癒される事と思います。


原作は漫画です。本作では主人公である海(カイ)君の小学生時代のエピソードを書いたものになります。この作品をご覧になり、もし気に入っていただけたのでしたら、是非とも原作の漫画も読んでいただく事をお勧めいたします。とても面白い作品ですので^^


自由奔放でやんちゃな性格である主人公の”一ノ瀬 海”君。彼は幼い頃より、近くの森にうち捨てられたピアノに触れて育ちます。毎日ピアノに触り、時にはピアノの上で寝泊まりし、彼の生活にピアノは溶け込んで行きます。そして彼は誰に習うわけでなく、いつしか我流でピアノを弾きこなす。天才・・・。彼は天才。そしてピアノに選ばれた人間。

そんな彼に友達が出来ます。東京から転校してきた”雨宮 修平”君。彼はピアニストの家系に育ち、そして自身もピアニストになる事を目指し、日々厳しい練習に明け暮れる毎日。”雨宮 修平”君は森にうち捨てられたピアノを弾く”一ノ瀬 海”君の演奏を聴き、衝撃を受けます。なるべくしてピアニストを目指す自分に持っていない物を持つ”一ノ瀬 海”君の演奏。聴く物を引きつけ、感動させる演奏・・・。2人はこの日から生涯のライバルとなる事を運命づけられます。


本作品では”一ノ瀬 海”君と”雨宮 修平”君がピアノコンクールで競う場面までが描かれます。ピアニストの家系に生まれ、サラブレッドとして育った”雨宮 修平”君。彼はその環境に満足する事無く、日々厳しい練習でピアニストになると言う夢を掴もうとするいわば”秀才”。
そして全てが我流であるが、ピアノに選ばれた天性の才能を持つ”天才”である”一ノ瀬 海”君。コンクールでは、お互いが全力を出し合い、そしてお互いを認め合いながら静かな戦いがきって落とされます。

本作品の最高の見せ場がこのコンクールのシーン。
自分の本当の演奏を見つけられず、コンクール本番中までも悩み続ける”一ノ瀬 海”君。彼は果たして本当の自分の演奏を見つけ出し、そしてそれを演奏する事が出来るのか?答えは彼のピアノの音色が教えてくれます。


主人公の”一ノ瀬 海”君役には上戸彩さん。ライバルの”雨宮 修平”君役には神木隆之介さん。その他にも池脇千鶴さん、福田麻由子さん等々有名人が声優として出演しています。製作はマッドハウスさんが担当。相当力の入った作品です。これで良い作品が作れない訳がない?

肝心のピアノ演奏及びミュージックアドバイザーには世界の巨匠である”ウラディーミル・アシュケナージ”さんが参加。ピアニストとしてはショパンの演奏で有名な彼ですが、彼の演奏はとにかくテクニックが凄い!音色が凄い!そしてその音色は怖いまでに美しい。彼が演奏するメインテーマである”Forest of the Piano”はクラッシックファンの方にはとにかくお勧め。彼の演奏は天才”一ノ瀬 海”を表現するのにぴったりと言えます。

エンディングテーマは女優であり、そしてピアニストでもある松下奈緒さんが歌う”Moonshine ~月あかり~”。なんとも美しく、切なく優しい、本作にピッタリとマッチした神曲です。

画像も綺麗ですね。特に森の中で佇むピアノの描写が素晴らしい。パッケージ絵となっている、森の中で木々の間からの日差しに照らされるピアノ。とても幻想的で癒されます。


素敵なピアノの音色に包まれ、そして観る物を引きつけるストーリーを持つ本作。疲れた心を癒す清涼剤になってくれる事と思います。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 21

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

森に響くピアノの調べ

はじめは楽譜すら読めなかった少年だったが、彼にはある才能があった・・・
原作ではピアニストとして才能を開花させていく姿を描いているが
この劇場版では小学生編の一部が描かれている。

とにかく、森の中でピアノを演奏するシーンが美しい。
作品サムネからの印象だとファンタジーを思い浮かべそうだが
中身はいたって真面目でとても現実的な内容。
ピアノを習っているお子さんたちにも、ぜひ観ていただきたいと思った。

ピアノに選ばれた才能を持つ天才少年・一ノ瀬海(いちのせ かい)と、
ピアニストの家系に育って厳しいレッスンを重ねる少年・雨宮 修平
(あまみや しゅうへい)のピアノに向ける情熱の温度差や友情。
ピアノを教える先生たちや彼らの母親たちのそれぞれの想い。

また、今の自分が一番感情移入できるのはカイの才能を見出したかつてのピアニスト
阿字野 壮介(あじの そうすけ)の心の変化。

またカイと母親・一ノ瀬怜子(いちのせ れいこ)の、
深い信頼で結ばれた親子関係も穏やかで、すごくいい。
厳しい教育の元で芸術家になる人ももちろん多いけれど
こういうのびのびした育て方で開花していくのも才能あればこそ。
そして大事なのは、その才能にいち早く気づき芽を摘まずに伸ばすこと。

音楽とは、芸術とはって、観ながらいろいろ考えてみたが
結果的に誰かを深く感動させることができていたら、
それはもう成功していると言っていいんじゃないか?と。

この作品、観る人によっては退屈かもしれないが
自分にとっては、初心を思い起こさせてくれるからというのもあり
観終えてしばらくするとまた観たくなるので、もう何度観たかわからない。
大きな感動をするというのとは違い、話の流れもそれほど
起伏はないものの、ご都合主義になっておらず現実的な部分が
しっかり描かれているのでホッとできる。

できれば、カイの成長期~ピアニストになるまでを描いた作品も
観てみたいものだが・・・なかなか映像化されないようでとても残念だ。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 34

65.8 8 クラシック音楽アニメランキング8位
グラスリップ(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.2 (1166)
5339人が棚に入れました
ガラス工房を営む一家の娘・深水透子は、友人の家にあるカフェ「カゼミチ」を友人たちとの憩いの場所にしている。高校3年の夏休み、彼女たちの前に現れた転校生の少年・沖倉 駆は、透子に、自分には未来の声が聴こえると語りかける。もし、あらかじめ未来を知ることができるのなら、自分は何を望むのだろう? 感じたことのない動揺を覚えながらも、透子は胸の中に、放っておけない感情が生まれていることに気が付く...。

声優・キャラクター
深川芹亜、早見沙織、種田梨沙、逢坂良太、島﨑信長、山下大輝、東山奈央、茅野愛衣
ネタバレ

アガパンサス さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

グラスリップ解説最新版・分かりました

ネット上では「分からない」としか言われていない本作品。
いくつかの話をピックアップして見ていこう。ただし最終回の伏線になっているところは途中でも解説してしまうので、一通り観てからこのレビューを読んでくださいです・・・

1話のポイント
{netabare}
1話は最終話への伏線が沢山あるので重要。
・ヤナが「先のことは分からない」と言うが、透子は「ずっと友達でいたい」と言う。
→ヤナの「不吉な」セリフが、話数の進行に伴い、従来の友達関係が壊れていくことの伏線になっている。
・透子は「何があっても全部未来の自分が解決してくれますように」と言う。
→このとき、目をつぶって手を合わせている点に注目。最終話で同じセリフが言われるが、その時は手を合わせないし目をつぶることもない。より前向きになっていることが分かる。つまり、1話の時点で、透子は未来を他人任せというか「なんとなく」しか意識していなかったが、最終話で「はっきりと」意識して「自分で切り開く」ことを決心したのだと言えるだろう。
・ジョナサンが浮いている。残りの名前にフッサールとか出てくる
→間違いなく、「浮いている」ジョナサンとカケルが対応している。
→最終話でユキが「ジョナサンは冒険者だが、残りの名前はみんな哲学者だよな」と言うのに注目。
・透子は「放し飼いがいい」と言うが、カケルは「猫に襲われるだろ」と言う
→自由がいいか、守られているけれど不自由なのがいいか?とも解釈できる。カケルが自分自身の殻にこもっている証拠ともいえる。これを補足するものとして、透子の家でジョナサンが暴れまわるが、これは自由への欲求とも受け取れる。
{/netabare}
2話のポイント
{netabare}
・カケルは透子と会って、初めて映像と声の両方が合わさった欠片を見た。
→カケルは音の欠片を聞き、透子は映像の欠片を見ている
・透子が4人の友達から離れて電車がドン!な欠片
→これは、4人が死ぬという意味ではない。この時点でも想像はできるが、12話で透子が「私がみんなと過ごした忘れられない場所をもっていない」と言うことによって、はっきりと伏線が回収される。つまり透子は4人と親しい友達でいるつもりだったが、それは表面的なもので、実は透子自身は浮いた存在であり、次第にそれが明らかになっていく、ということ。今後の話で、まさにこの映像のようなストーリー展開がなされていく。
・ユキとヤナの恋愛感情が露呈して、5人の友達関係が崩れていく
→カケルは5人にとって「部外者」。しかし部外者の登場によって5人の表面的な関係が崩れていくのである。
{/netabare}
3~6話は、あまり重要ではない。未来の欠片をめぐって視聴者はじらされる。その中で、次第に5人の中の恋愛感情が育っていく回だとみておけば、大きな間違いではないだろう。一応5、6話だけ少し。
5話のポイント
{netabare}
・ヒロの恋愛感情がサチに向いている
・ヤナがユキに棒読みな告白をする
→これで5人の友達関係は完全に崩れてしまった。5人の人間関係はヤナが1話で予言したように「変わって」しまったのである。
{/netabare}
6話のポイント
血なまぐさいケンカがあるが、それ自体はあまり重要ではない
{netabare}
・透子がカケルとのキスシーンの欠片を見る
・カケルが「透子に味方してほしかったのかな」と言う
→透子とダビデの心理的な距離は近づきつつある
{/netabare}
7話のポイント
未来の欠片の正体が判明したり、カケルの今までの人生がどういうものだったかが明確になる非常に重要な回である。
{netabare}
・3人のカケル
→カケルは常に自分を冷めた目、つまり第三者的な目で見ている。これはすべてのことについてもそうである。
・テント暮らしの象徴するもの
→カケルは常に世界の「外」にいる。透子達5人に対しても、輪に入ることはなく「外側」にいようとする。
・透子が「高いところに登っちゃダメ」と言うが、カケルは「少しでも落ちる可能性のある所には登れない」と言う
→カケルは「挫折に対する恐怖」を感じている。だから何事も夢中になることがなく、冷めた目で外から見つめている。このことが、1話で透子に「そんなのお前の価値観でしかないだろ」というセリフにつながる。つまりカケルにとって「価値観」はすべて相対化されており、「カケル自身が何をしたいのか」という部分が気持ちの中に全くないのである。
・最後の砂浜でのシーン。ヤナの後ろ姿から鳥(後にトビと判明する)が沢山飛び出してきて「お似合いカップル」と憎らしくつぶやく「映像と声があわさった欠片」を透子が見る
→「未来の欠片」は、タイムマシン的なイメージで捉えた未来の予測ではなく、その人が抱えていたり自分が遭遇している現実に隠された「本質的なもの」と考えられる。これは最終話で透子が「未来ではなく、まだ起こっていない、でもきっとこれからおきること」という言い方もしている。「未来の欠片をみる力」というのは、「現実に表面的に存在しているわけではないが、そこに潜む本物をみる」能力と言ってもよい。「本当の想いや本音、隠しているもの、隠されているものを見る力」と言ってもよい。少なくとも、「ふつうの意味での未来」とは別の意味が「未来」に隠されていると考えないと、このアニメのストーリーが意味不明になってしまう。透子とカケルは未来予知能力者では全くない。
・9話の伏線として、サチが透子への好意をヒロに打ち明けるシーンがある。その打ち明け方がドロドロしているためか、ヒロはサチと一定の心理的な距離を置くようになった。これを、「ヒロはサチの友達でしかないと悟った」と解釈する人がいる。そうも読めるが、後で二人は登山デートをして、ついにヒロがサチを背負うところまで仲が発展していくのだから、「単なる友達」ではない。10話でヒロがサチへ読書感想をメールで伝えるというシーンからも、やはり二人の関係は特別なものになっているのである。ヒロがサチから一度心理的な距離を置いて冷静になったからこそ逆に本物の愛につながっていくのではないか。
{/netabare}
8話のポイント
カケルと透子の関係が重要な段階に入る。
{netabare}
・透子の欠片:二人の女性の会話中に窓ガラスが割れる→表面的な二人の関係を見破ったということではないのか。
・雪が透子の欠片の中で降り始める
→欠片の中に透子とカケルがキスをするシーンがあり、「やはり二人は両想いであることがはっきりしていくのかな?」と予想することは簡単である。では、雪の正体とはいったい何だろうか?これは、12話で透子が見るカケルの「唐突な当たり前の孤独」のシーンにつながる。つまり、キスをするだけでなく、カケルが抱える本当に重大な問題を透子が理解することによって、二人の関係は単なる肉体関係としての恋愛ではなく「本物の関係」になるのである。
{/netabare}
9話のポイント
{netabare}
・サチが透子とヒロの二人に告白する。
・透子がスケッチに描いた鳥を消している→これがトビの姿なので、7話でヤナから飛び出した鳥はカラスではなくトビではないかと思われる。あまり本質的ではないが・・・
・サチの言う重要なセリフ:「明日のために」→最終話への伏線。明日のために今日を一生懸命生きよう、ということ。
{/netabare}
10話
{netabare}
・ヒロが読書感想メールをサチへ送る。ようやく気持ちが通じ合ったかなと言う感じがする。
・カケルが欠片を見ることができなくなった
→次第に自分自身の「外」から「内側」へカケルの気持ちが移ってきていることの証。平たく言えば、カケルの「自分自身」が「覚悟を持って生きる」決心がつき始めている、ということ。
・「唐突な当たり前の孤独」
→「自分に友達が出来ても、自分が引っ越しなどでいなくなったらその友達は自分のことを忘れてしまう」経験のこと
{/netabare}
11話
{netabare}
・透子とカケルが一夜を過ごすが、カケルは「一緒にいるのが怖い」と言う。カケルは転校しようとしていたが、母に「一緒に世界を回らないか?」と誘われてしまう。だから、せっかく透子と仲良くなったのにまた別れる羽目になってしまい、やがて透子に自分が忘れられてしまうのではないか。また唐突な当たり前の孤独を味わってしまうのではないか。だったらやっぱり透子との仲は無かったことにしよう・・・というカケルの気持ちが読み取れる。
・サチがヒロに「また山に歩いて登りたい」と言う
→そういえば3話では車で登っただけだった。より二人の仲は親密になっている。
・サチが「近くにいるのに相手が見えないって不思議じゃない?」とヒロに言う
→二人の仲はまだ本物になっていないことを想起させる。雪はその象徴であると考えれば、透子の欠片がどういう意味かも説明できる。つまり、カケルがこの孤独についての問題を解消できない限りは、カケルと透子が本物の関係になることはできない、ということ。ただしカケルと透子は二人で花火の欠片を見ることができているので、二人の世界を共有し始めているのは確かであり、本物の関係になっていくと期待できる。もしかしたら、サチも「唐突な当たり前の孤独」を感じていたのかもしれない。病弱で学校にあまり行かないから友達が出来なくて・・・そうした中で透子は大切な存在だったと・・・
・カケルの母のピアノ演奏が始まり、カケルと透子は手をつないで聴き始める。
{/netabare}
12話のポイント
2話の重要な伏線が回収される回である。
{netabare}
これは並行世界でも未来の世界でもない。カケルの感じていた「唐突な当たり前の孤独」を透子が感じるシーンが大半を占めている。透子が「私がみんなと一緒に過ごした忘れられない場所をもっていない」と言うことで、2話の欠片についての説明がなされ、伏線が回収される。最後に、透子は現実の世界に引き戻される。

※補足
「これは単純に透子が友達を失う苦しみじゃないか」という意見がある。そうではない。冒頭のシーンで透子は4人に喫茶店で会っている。でも4人はいまひとつ透子のことを見てくれていないし、花火大会で挨拶しても「覚えていない」。たぶん、カケルもこういう感覚を味わっていたのだろうなと想像できるのだ。さらに、前述したように、このシーンは透子と4人の関係が露呈するという二重の意味もある。失うのではなく、「元々本当は」友達ではないのだ。

※補足2
したがってこれは透子が4人に対して感じた疎外感でもある。その中でカケルだけは「本物」だった。カケルが透子にとって本当に大切な人になった瞬間である。

{/netabare}
13話のポイント
この回ですべての重要な伏線が回収されると言ってよい。
{netabare}
・4人が喫茶店に集まる。ヤナが「偶然5人集まること、前はよくあったよね。」と言う
→やはり2話で透子が見た欠片につながっている。やはり5人の関係は変わってしまい、透子は4人から離れてしまった。これは見方を変えれば、5人の仲は「本当は友達ではなかった」と露呈したともいえる。残る4人の関係も変化しているためヒロが言うように「何かキンチョーする感じ」である。
・カケルが山歩きをしていたのは父の影響と判明する
・透子の母も欠片を見ていたと判明。しかし「思いもしなかったことばかり起きた」と言う
→「未来の欠片」は、やはり普通の意味での未来ではないことは明らか。母は「今、精いっぱいやらないと」とも言う。これが、このアニメで最も重要なテーマと言ってもよい。
・流星には「星に願いを」と言うように、「願い事」の意味が隠されていると言える。将来への希望である。
・「ジョナサンは強いて言えば冒険者」とユキが言う
→カケルは「放浪」ではなく「冒険」を始めた、と読み取れる。前向きに生き始めた、ということ。
・透子は「何があっても全部未来の自分が解決してくれますように」と言う。
→1話の花火大会で言った時よりもかなり前向きな言い方になっていることに注目。すでに解説済み。
・テントはもうない。だからカケルはもういない。しかし一人で登校する透子には「透子」と呼びかけるカケルの声が聞こえる。
→カケルと透子は別れてしまった。二度と二人が会うことはないのかもしれない。しかしカケルのことを透子は覚えているし、二人の想いは通じ合っているのである。だから、「友達ができても自分はやがて忘れられる」ということはもうない。カケルは「唐突な当たり前の孤独」を感じて苦しむことはもうなく、人生の意味を見出して前向きに進み始めているのである。そして、二人をつなげているのが、山で投げたビー玉?のうち、拾い忘れた一粒(最後に出てくる青い玉)、ということになっている。さらに、この山が二人にとっての「一緒に過ごした忘れられない場所」なのだ。また、透子は4人から離れて一人になってしまった(やがて4人からは忘れ去られるかもしれない)が、それは「唐突な当たり前の孤独」ではなくもっと力強い孤独である、という意味も込められている。
{/netabare}
<まとめ>
グラスリップは、要約すれば「カケルが透子と出会うことによって人生の意味を見出した」アニメと言えるだろう。
<感想>
ここまでメモを取りながら「読む」アニメは初めてだった。何度一時停止をしたか分からない。でも「分かった」時の感動はすごいものがある。いやー感動しますよ。TARITARIをはるかに超える、爽やかな美しい感動ですよ。

<補足>
OPで少し幼い透子たちが描かれている意味
→この時点でヒロがサチに好意を抱いている。つまりこのころから5人の関係は変わり始めていたが、表面的には今まで通りのつもりだった・・・と解釈できる。ちなみに、サチと透子が親しかったらしいこともわかる。
ジョナサンがカケルならニワトリが5羽しかいないのは何故?
→ジョナサンはカケルだけでなく透子も象徴しているのではないか?二人とも最後は唐突な当たり前の孤独を共有し、最後はそれを振り切って前へ進んでいくという共通点がある・・・トビはもちろん、カケルのように「世界を外から見る冷めた視点」のようなものを表している。
「グラスリップ」の意味
→グラスとトリップ(旅)と西山監督が言っている。個人的にはこちらの方が好みですね。透子がガラスのようにキラキラしたものの向こうに「未来の欠片」を見る。これを「未来へ飛ぶ=トリップ」と捉えたイメージ。しかしそれではスペルがGlassripにならなければならない。
→Glass+slipで「ガラスが滑る」という意味もある。ガラスが滑ると割れる=5人の人間関係が壊れる、ということ

<日本アニメの終焉について>
 こういう難解なアニメが受けなかったということは、もう日本のアニメは終わりに来たのかなと思えてくる。
 ざっくりと日本のアニメ史を分けるとするならば、昭和世代と平成世代に分けることができるだろう。昭和時代の作品は「何かが起きて」物語の進行とともに大きな山「クライマックス」ができる、という素直で爽快な「格好いい」ストーリー性があった。
 しかしこうしたストーリー性のネタが次第に切れてきた。それが平成時代である。ここで登場したのが「何ですかこれ」的な作品である。それは例えばセーラームーン(ただしTV版、原作は根本的にテーマが異なる)のようなパロディ性のあるものであったり、エヴァンゲリオンや少女革命ウテナのようにストーリーの軸を視聴者の予想を「あえて」裏切る形で完結させようとする作品であった。これは、ネタ自体の新しさを追求するのに限界が生じたために、その構成の仕方について新しい手法を提案したためである。これは、ストーリーにいくつかの解釈の可能性をもたせるものであるため、「考察厨」の間で論争が起き、「話題」になることによって作品が売れる、というビジネスモデルであった。しかし視聴者はすぐにこのモデルに順応してしまい「慣れて」しまった。こういう作品を苦労して作っても、「要するにいろいろな解釈をすればいいのだな」「考えるのではなく感じろ」という風に「冷静な」感想しか出てこない。
 視聴者にインパクトを与えるにはどうしたらいいのか?昨今のマンガ作品は「どれも似たようなもの」や「既に観たことがあるもの」になってしまっている。萌えに走るとただのエロアニメとして批判され、ギャグはネタが古いorひねりすぎとして批判される。SFは既に科学の世界で実現しつつあるものか、既に実現したもののデフォルメでしかない。「技術」に走ってグラスリップのような作品を作ると、「どう解釈することもできない」意味不明な作品と受け取られてしまう。だから、新しいものを作っても新しさが今一つだし、ウケないのだ。
 どこの世界でも、最近「イノベーションの重要性」が叫ばれつつあるが、これはイノベーションが困難になってきている証拠だと思われる。
 ホント、これからのアニメ界、どうしたらいいのでしょうね。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 57
ネタバレ

Baal さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

確かに理解しがたい作品ではあった。

P.A.WORKSによるオリジナル作品です。

期待していたのにとか意味わからんとかいう

意見が多かったように思います。

そんなことより内容的なことを考えると

確かにわかりにくいのは事実であるのでは

ないかと思います。

ですがそのままにしても意味ないので自分なりの

考察を加えて見ました。(私の勝手な解釈で

出来たところだけなので気にしないでください。)

{netabare}まず、最初から何度も出てきた

未来のかけらと呼ばれたものについては

話数を追うごとに私は未来のかけら⇒世界のかけら

⇒心のかけらと解釈が変わって行きました。

最後の心のかけらですがこの心の欠片は

その名の通りの意味です。心の中に引っかかる

出来事が起きることで見えていた(正確には

感じ取っていたというところかな)ことで

心の埋め合わせ等の役割を出していたように

思います。つまり駆と透子には心の中に穴と

ひび割れがあったという描写の一種であると

思います。駆の欠片が見えなくなったのは

透子に会うことによって共有することで未来の欠片が

見える原因の心の穴とひび割れが修正されて

突然、見えなくなったということです。透子の欠片が

消えなかったのは心の欠片の原因が駆によって

だけでなく、おそらく幼馴染やニワトリにも

あるからだろうと思います。透子の心の欠片の

駆が落ちたり、やなぎが危ない目に

あったりの未来を予兆させるような欠片は

自分の中の分からない苦しみが目の前の対象に

添加された形で見えたからではないかと思います。

さらに雪景色のかけらの描写は上で言った自分の中

の欠片の原因が見えていないときの描写で

12話の雪景色の中の花火大会の様子の欠片は

ほかの幼馴染が透子のことをおいて行ってしまって

いる描写は心の欠片の原因がうっすらと暗示して

いる形だと思います。おそらく、幼馴染の関係が

変わり始めていることで自分の見られ方が変わって

いく事がわからなくなっていまうことを

示しているのではないかと思います。

ここまでの描写から13話の母親との会話を

考えるとあの短い会話ですが透子の心の欠片の

埋め合わせに必要なことを暗示しているかの

ようであると思います。単純に妄想だったという

結論だけではないと思います。これだけでは詳しいことを

考えるのは少しばかり難しく、わかりません。


次にニワトリについての考察ですが、まず5羽しか

いないのはこれも透子の心の欠片の一部であることを

示していると思います。ジョナサンが駆と例えられるの

はおそらく間違いないと思います。

それが駆と会うことによって心の穴の埋め合わせ

にならないことの理由の一つだと思います。

残りの4匹と名前の由来が違うのも駆≒ジョナサン

っていうことを示していると思います。


総称して考察すると欠片は実体がないが存在は

するものである。つまり心理描写の一種であり

そうではないということ。

未来と過去とのつながりを欠片が保っている

ということも考えられます。だから実体がないが

存在する、心理描写であってそうではない

ということにもつながると思います。伏線回収が

されているのかされていないのかはわかりにくく、

どっちの解釈でもつながりは途切れていない

と思います。(分かりやすく回収して欲しかった

ですけど。)

長々と書きましたが私個人の解釈なので

色々と思うことがあるかもしれません。

{/netabare}
まあ、難しかった作品だし、私の解釈は

個人の一つの意見でしかないものです。

私はいろいろ考えられた、わりとよかった作品だと思います。

(伏線の回収をあんまりしてるのかいないのかと思える

展開に見えたのはあんまり良くないとは思いますが・・・)

いろんな解釈で考えてみる一種の文学的な

思考で見てみると面白い作品なのかなと

思います。

10/17 星評価変更、追記

個人的点数評価 75.19点

余談(気にしなくていいです。)
{netabare}
この考察は13話視聴後2時間ちょっとかかって

過去のメモ等をまとめてできました。
{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 85

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

揺れ動く現実 思春期の幻想というマイナージャンルの佳作

2014年放送のテレビアニメ 全13話

原作 カゼミチ 監督構成 西村純一 構成 佐藤梨香 キャラデザ 竹下美紀
制作 P.A.WORKS

この監督さんはプロゴルファー猿(1985年の初監督)からすでに大車輪の活躍をしている大ベテランです。
封神演義など見事な失敗作も多いんですが、信頼度が高い人ではあります。

カゼミチというのは物語内の喫茶店の名称なので、
原作はほぼ西村純一さんで間違いないと思います。

キャラデ 目が大きすぎないですか?綺麗なんですが目は常軌を逸してます。
作画はP.Aにしては普通以下かも知れません。
特に後半は背景はともかく人物画に粗さが目立ちます。

感想はタイトルの通りで、特に考察など必要ないという考えです。、
もしかしたら、重大な展開を打ち切った可能性もありますので断言できないんですが、
観たままで判断すれば、「揺れ動く思春期の幻想」としか理解できません。

それで大満足ですよ。P.Aキャラで相当エロいシーンが観れるのは至福ですし。
女子中学生がスクール水着でうろうろしてても平気な町です。
などのエロ要素も含めて評価すれば意外な良作。
気持ちよく観れる青春劇です。

グラスリップのタイトルの意味は分かりませんでしたが、
そのまま分解すると、グラスとスリップになります。
ガラス工芸と幻覚によるタイムスリップでしょうか?
ガラス玉と流星、ただの印象風景ですね。


舞台の福井県坂井市は2006年に4町合併で出来た市で、
歴史的には、現在の天皇家の直接の祖先と言われる継体天皇の出身地です。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 29

71.4 9 クラシック音楽アニメランキング9位
takt op.Destiny タクトオーパスデスティニー(TVアニメ動画)

2021年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (324)
929人が棚に入れました
「苦悩を突き抜けて、歓喜に至れ――L.V.ベートーヴェン」音楽は人の心を照らす光――突如として、その『光』が世界から奪われる。空から黒い隕石『黒夜隕鉄』が降った夜、世界は様変わりした。黒い隕石から生み出された異形の怪物『D2』が、大地と人々を蹂躙し始める。D2は人の奏でる旋律に惹かれ、やがて『音楽』そのものが禁忌とされた。だが、その怪物に抗う者達が現れる。音楽を力とする少女達――『ムジカート』彼女達は、人類史に残る偉大な歌劇、楽曲の楽譜(スコア)を身に宿し、D2を撃ち破る力とした。そして、彼女達を指揮し、導く『コンダクター』2047年。D2との抗争によって荒廃したアメリカ。コンダクターの『タクト』は、ムジカート『運命』と共にニューヨークを目指して旅していた。音楽が失われた世界で、音楽を渇望する『タクト』D2の殲滅を望むムジカート『運命』二人の少年と少女が生み出す旋律は、歓喜かそれとも絶望か――
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

途上のポリフォニー

「音楽の危機」と「危機の音楽」。
本作の設定、いわゆる世界観をまずはこんな風に要約できるだろうか。
侵略者により危機に瀕した世界と音楽。そこに出現した
兵器となって闘う音楽、ムジカート。―そのそれぞれが
主人公タクトの物語、ヒロイン運命の物語として展開される。

ところで、本作で「音楽」が指し示す意味は単一ではない。
例えば「音楽は人の心を照らす光」のような、
主語化されたフレーズだけで捉えようとすると逆に不明瞭になる。

本作ではすべてが「音楽」を介して物語られている。
その多様な現れを「―としての音楽」というかたちで析出し、
それらがポリフォニーのように有機的に連関し、ストーリーの展開を推進する
力学的な構造を想定しつつ、物語の意外な厚みを掘り下げてみよう。


{netabare}喪失としての音楽。
タクトの弾くピアノはそう呼べるだろう。

父の非業の死。禁忌となった愛する音楽。やり場のない怒りと無力感。
失われた音楽に執着するタクトは、ピアノとともに世界から孤立する。
そこにまた、新たに生々しい傷を加える、コゼットの喪失。

一途に音楽を愛するだけの青年が成り行きで戦闘に巻き込まれ、
しかもそれが音楽の名のもとに行われる事態は、皮肉と言うほかないだろう。
だから当然、物語のはじまる時点では、彼自身に戦う意志などありはしない。
だが、コンダクターとなり、旅と戦いの中で危機の世界を経験してゆくことで、
やがて闘う目的と、自らの音楽の新たなかたちを見出してゆく。
その内面の変化は音楽に仮託され、物語の中心軸を形成するのである。

タクトの決定的な転機は第6話で描かれる。
旅の途次に立ち寄ったニューオーリンズとおぼしき街で
自らの演奏をとおして人々の中に今も生き続ける音楽への渇望を実感し、
この経験をきっかけとして作曲が開始される。

 今回は戦闘がなかったのですが、お休み回では決してありません。
 むしろ今後につながる非常に重要な回でした。
 人々の過去と現在を丁寧に描くことで、
 何を代表して戦うのかがはっきりと印象付けされました。

福松さんのレビューでもこのように指摘されているように、これは決して
単なるエピソード回ではなく、物語に転回を画す最重要のポイントである。
なぜなら、戦う動機につながっていく彼自身の音楽の発見、すなわち
「希望」というテーマの、最初の兆しがここに印されるからだ。

それはあたかも分光器のように、彼の音楽を三つの位相に分節する。
あるいはここに、弁証法のプロセスを想定するのは大げさに過ぎるだろうか?
ピアノが象徴する失われた平和な過去。ムジカートとともに戦う彼の闘争は
未来の平和を勝ち取るために経過しなければならないアンチテーゼとしての現在。
だとすれば、その先にある、止揚された平和を自身意味する未来の音楽こそは、
やがて生み出されるタクト自身の曲に他ならないだろう。

死の間際のレニーに、タクトは最後にこう告げる、
「これまで出会ったすべてを曲に込めるつもりだ」と。
旅で出会った様々な人生。音楽をとおして回復された世界とのつながり。
おそらく王道の成長ストーリーと呼んでも差し支えない内実がここにはある。
そして、この作品の本質を最も的確に表現する言葉として自分は
「途上の物語」、―このように呼んでみたい想いに駆られる。


闘争としての音楽。
すなわち、ムジカート。

侵略者と戦う力を有した音楽であるそれは、まさしく危機の音楽である。
タクトと運命との絆の深まりもまた、音楽の媒介によって表現される。
そこに、タクトと同様、運命が戦う意味に目覚めてゆく過程が重ねられる。
戦うこと自体が存在意義であるムジカートは、固有の動機をもたないからだ。

彼女の転機は第8話で語られる。
すでに人間的な心が芽生えていた彼女の中に、未知の感情が現れる。
傷を負い倒れたタクトを見て不安と恐れに駆られ、戦いを放棄する。
物質的な存在ではない彼女は死というものを知らない。だからその時訪れたのは、
タクトと一緒にいられなくなる、彼のピアノを二度と聴けなくなる、
そのような生々しい予感だった。

二人の心の接近が描写不足だと、批判する向きもありそうだが、
音楽とは本来言葉によらず、直接心から心へ真実を伝える力を持つものである。
彼女がタクトのピアノを愛している事実は第6話ではっきり表明されている。
音楽の化身である運命ならば、タクトの音楽の中に流れている
純粋で一途な情熱を直接理解し、愛するようになるのは自然である。

そしてここにドラマが生まれる。運命の中に生じた葛藤である。
タクトが愛する音楽と、ムジカートである自分が具現する闘争の音楽との相克。
平和の中でこそ奏でられるべき彼の音楽は、自らの存在理由とは背反する。
タクトと自分の存在がすでに、相容れないものだと彼女は悟る。
タクトを残して単身、地獄に対して無謀な戦いを挑んだ彼女の言葉には
この苦悩と覚悟とが同時に表れている。

―マエストロは本来なら、こんな戦場に立つべき人じゃなかった・・・
 ただ音楽が好きで、ピアノを弾いているだけで良かったんです。
―音を力とするのがコンダクターとムジカートよ。むしろ戦いに相応しいと思うけど。
―あなたにはわからないでしょう・・・

運命が自らを投げ出してまでも彼を守り抜こうと決意した理由は何か?
そして、この葛藤が乗り越えられるべき契機はどこに求められるか?
・・・ここに、この物語の核心はある。
この前夜、逃げ込んだ洞窟で二人は心の内を明かしあっていた。
コゼットを失ったことで、作曲を続ける意欲を喪失したタクトに、運命は
彼の音楽に寄せる真実な気持ちをありのままに打ち明ける。

「それでもマエストロは曲を作るべきだと思います。
 その音を待っている人が、必要としている人がいます、この世界には。」

この時、彼女の言葉がタクトの曲に新しい意味を与えたのだ、―希望である。


希望としての音楽。
新たに見出されたタクトの、いや、タクトと運命の音楽のかたち。

この世界から希望を絶やしてはならない。希望の音楽を未来につなぎたい。
ムジカートにアプリオリに備わった闘争本能ではなく、
彼女の目覚めた心が獲得した、戦うべき新たな目的がここにあった。
一足早く新しい地平に到達した運命に、タクトがあらためて問いかける。

―この世界には僕の曲を必要としてる人がいる、お前はそう言ったな。
 なら、お前はどうなんだ?
―私も・・・いえ、私は、マエストロの曲が聴きたいです。
―遠慮なく僕の命を使え。僕とお前の二人でやるんだ。・・・

タクトの曲。希望としての音楽。それをいま、二人は共有する。
未来へ希望をつなぐために戦う、この同じ動機の中で二人の心が一つになる。
葛藤を乗り越えて生まれた絆。ここにもまた、弁証法的な過程が認められそうだ。
平和の音楽(タクト)と闘争の音楽(運命)が、希望の音楽として止揚される。
本作の音楽がさらなる高みへの志向を内在させているのだとすれば、
間違いなく、ここがその頂点である。そして同時に、
タクトと運命がたどってきた心の旅の終着点でもあるのだろう。

ここに本作の最終的なテーマを認めて間違いはないだろう。
最終話のザーガンとの闘いに決着をつける、一対一での対峙の場面、
絶望と犠牲による痛みの音楽を讃えるザーガンに、タクトが決然と言い放つ言葉、
そこにはタクトが獲得した信念がさらに強められ、揺るぎなく表明されている。

「だって、この世界には音楽があるじゃないか。
 D2だって僕たちの音楽の力があるから倒せるんじゃないか。
 どこに絶望する必要がある?・・・」

微妙なニュアンスを読み取っていきたい。この言葉はまず「音楽の力」、
すなわち闘争の音楽であるムジカートの存在を肯定するものだ。
同時に、この「力」の中に、新たな意味を読み取ることができるのではないか。
戦闘のための物理的な力であることを越えて、すべての人間にとっての
「絶望と闘う力」、すなわち希望の力へとそれは昇華されているのである。

「音楽はいつだって人を救ってる。
 僕も音楽があったから今ここに立っている。
 いつだって僕は音楽に救われてきた。
 音楽がつないでいく希望と歓びを、二度と誰にも止めさせはしない。」

この「音楽」にもまた、倍音のようにもう一つのニュアンスが響く。
おそらくそれは、今この瞬間、自分と並んで立っている運命を指しているのだ。
並び立つ二人を正面から収めたカットは、互いの存在を受け容れ合い、
ついに同じ地平に到達したタクトと運命の現在を端的に表しているようだ。

「苦悩を突き抜けて、歓喜に至れ。」 ベートーヴェン


最後に、愛としての音楽。

哀切な訣別の時は確実に二人に訪れる。
なぜなら、本作は「途上の物語」だからだ。

全ての生命力を枯渇させたタクトは永い眠りにつき、彼の作曲は途絶える。
だが眠る直前、完成した曲の旋律だけを口ずさんで運命に聴かせる。
その彼の、運命との契約によって失われた右腕・・・
自分とタクトをつなぐ絆だったその存在しない右手を最後まで握り続け、
眠っているタクトに愛を告白し、運命は消えてゆく。このとき初めて彼女は
マエストロではなく、「タクト」と呼んでいたようだ。・・・

さて、タクトの隣には運命に代わって、今度はコゼットがいる。
彼の復活した右手に、彼女がドックタグのようなものを握らせる。
このラストシーンが暗示する意味はほぼ想像できるが、それよりも明瞭に、
すでに第2話で、コゼット自身が予告していることに気づかれただろうか?

ベートーヴェンのピアノソナタに託して、
コゼットがタクトに語ったこんな言葉があった―、

「悲愴の第一楽章は絶望の今。
 かすかな希望の明日を見いだす、第三楽章。
 その間をつなぐ第二楽章は・・・愛なの。」

このフレーズに、物語のすべてが集約されているのは明らかだろう。
本作の本質はやはり、絶望から希望へと至る「途上の物語」なのである。
そして、そこには確かに、ひそやかな「愛の音楽」も鳴り響いている。
なぜなら、絶望の今、すなわち音楽が失われかけた危機の世界の只中で、
自ら戦いに身を投じる音楽とは、「愛」そのものだとは言えないだろうか?

それはまた、「かすかな希望の明日を見出す、第三楽章」へと、
音楽の未来を託されたタクトを導き、ともに戦い、守り抜き、
絶望を希望へとつなぐ使命を果たして、消えていった運命とコゼットの
ひたむきな愛の物語でもあった。
彼らの想いを未来につなぐために、アンナもまた戦いに身を投じてゆく。
闘う音楽、ムジカートとは、希望への途上にある音楽の現在に他ならないのだ。

「途上の物語」―。彼らの旅はまだ終わっていない。{/netabare}


毎期の終わりに、デジャヴのように繰り返される、
ソシャゲ原作アニメへの定番化した評価は本作にも及んでいる。
曰く、作画凄い、キャラ可愛い、ストーリーは薄っぺら・・・等々。
勿論、出色のバトルシーンこそが本作の華であることは言うまでもないが、
バトルに十分な尺を割けば、しわ寄せがストーリーにいくのは当然で、
ドラマメインの場合とは異なった描出法が必要になってくるだろう。
音楽。闘争。愛。主要なモチーフを巧みに組み合わせた緊密な構成と、
細部まで緻密に練られたシナリオによって、そこはクリアされていたように思う。

{netabare}例えば、アンナが死んだ娘と混同されるエピソードは、
彼女自身がコゼットの死を受け容れ、運命と向き合う決心につなげられていく。
また、割り振られた僅かな尺の中でもザーガンの人間像は定着できていた。
戦場で兵士を鼓舞するザーガンの言葉にすでに自己犠牲への賛美が見られ、
歪んだヒロイズムの暴走に至る心理に一貫した整合性が付与されている。
世界を救う使命感と現実との狭間で、重圧に押しつぶされていく彼の苦悩も
二人のムジカートの視点を介して効果的に表出されていたと思う。{/netabare}

ただ、惜しいことには、通常の説明的な描写に慣れた耳には繊細過ぎ、
十分に聴き取れずに終わるかも知れない。自分もそうだったのだが、
再視聴してみるとかなり印象が変わる作品である。

(2022.1.1 初投稿)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 22
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

いい意味で裏切られました。話の畳み方はかなり秀逸だと思います。

 え、何ですかこれは?いいじゃないですか。7話以降尻上がりに良くなって行って、10話~12話はかなりいい出来だったと思います。

 どうせ話が畳めないで続きはゲームで…かなあ、と思っていたのが思いっきりいい意味で裏切られました。
 謎は残りました。敵の正体とムジカ―トとは何ぞや?ですね。ただ、この辺は昔の世界系と同じと割り切ればいいでしょう。

 初めの数話の話が弱い感じなのが欠点といえば欠点なのですが、2回目視聴したら印象が変わるかも、という可能性を感じます。再視聴の機会があれば追記するかもしれません。

 使命のための命がけの戦いという話に、消えた人格の中に新しく生まれた愛情というなかなか良く練られたストーリーでした。過去の因縁もありましたし。それに主要登場人物のキャラの造形がきちんと表現されていたのも物語が楽しめた要素だと思います。

{netabare} タクトが次第に心を開いて運命への気持ちを自覚し、また音楽への情熱が作曲に向かわせたのはとても良かったです。ここから音楽へ殉ずる覚悟へと向かうプロセスで運命の命を天秤にかける苦悩があればもっと良かったと思うのですが、そこが無かったですね。

 ラブストーリーとして非常に良くできていましたし、エンタメとして綺麗だし面白いしきちんと完結していたので良かったと思うのですが、エンタメ極振りか、といえば何かテーマがあるような無いような歯がゆさがありました。

 なぜ「音楽」だったか、ですよね。もちろん「音楽」をモチーフにしたのは演出というか世界観としていいのですが、例えば表現の自由みたいな「言いたい事」があるか、でしょうね。ここの主張が弱かったからテーマ性が見えなかったですね。

 ひょっとしたら、クリエータの中にはどこか表現の不自由みたいな閉塞感があるのでしょうか。逆転電池少女が同時期にあるのは偶然のような気がしません。法規制にポリコレ…そういった暗い影を創作に携わる人は感じてこういう話が増えてきているのでしょうか。
 それをテーマにしているかと言われると、最終話の敵の思想やタクトを守ったレニーの動機なんかがぴったりと重なる感じではないですね。

 最後の薔薇の花びらになって散るシーン、良かったですね。握っていた手が消えて…涙が流れて…あれはコゼットに戻った?それとも運命の中に生まれた人間性?後者なんでしょう…と私はとりましたが、区別する必要はないかもしれません。
 いろいろ言いましたがひょっとしたら、このシーンから逆算して物語を作ったの?というくらいタクト-運命の関係についての話は素晴らしかったと思います。{/netabare}

 アニメは綺麗だったし、バトルシーン、3Dの出来、華やかさ、音楽がとても良かったです。
 あの2Dだと横顔のとき口の位置が歪む不自然な作画じゃなかったので横顔の時の唇の動きが楽しめました。



以下視聴時のレビューです。

7話{netabare}  7話それ自体は運命の成長とか、描かれていなかったコゼットに対する気持ちとか、タクト自身やニューヨーク側の展開があって面白かったと思います。
 ただ、運命の成長要因って今までの話で見せてましたっけ?人格を失ったコゼットが運命の内面のどこかにいるという展開でもいいと思います。ただ、いままでそういう描写が弱かったですよね。

 今回、望んでいたストーリー性がより出てきましたので、いいと思うんですけど、ちょっと唐突感がありました。{/netabare}

6話{netabare} ニューオリンズなんでしょうね。なんで地名を出さないんでしょう?ちょっと不思議でした。

 で、今回はラプソディーインブルーでした。キャラ紹介ではなかったのが良かったですね。やっと父が音楽家であったことが話に結びついてきました。それに、音楽にまつわる話と高齢化でさびれてゆく街の話がミックスされていて、なかなか味がある話でした。
 
 ラプソディインブルーはのだめのEDだった曲ですね。アレンジが違うしピアノだけなので雰囲気は随分違いますが。

 バトルがないのも息抜きで良い構成だと思います。今回は素直に面白かったです。 {/netabare}


5話 {netabare}ストーリーどんどん面白くなってくるし、ワルキューレちゃん、いいですね。是非ワルキューレの騎行(GATE1期で街をヘリで攻撃したときの曲です)をバックに戦ってほしいところです。

 それにしても、なぜセリフとか演出とかが陳腐なんでしょう。「僕の名前はキサマではない…」とか「気に入ったわ…」とか手プルプルして「その名前、覚えたぞ…」とか…いやいや…ワザと?ギャグ?こういうところをちゃんと作り込めばもっと評価高くなると思うんですけど。
 ワルキューレちゃんも、エライさんも、地獄もなんかキャラとしてはテンプレですし…

 マンガの記号論というのもありますから、記号論をアニメに応用して、受け手側が話を理解しやすい様に、ベタなキャラや演出セリフは記号的なパーツの組み合わせにしていると割り切ればいいのでしょうか。

 それにしてもなあ…話にも興味持てるし、絵が奇麗だし、音楽も良くなってきてるので、勿体ないなあと思います。

 ちなみに地獄ってダンテの神曲の地獄編?{/netabare}

4話 見ました。
{netabare}  来ましたね。運命。第4楽章の序盤と中盤の盛り上がるところをつないだんですね。やっぱりクラッシックをバックに戦うとカッコイイですね。なるほど調和が取れてくると、音楽が響くという演出ですね。これでこそコゼットの衣装の美しさが映えます。
 段々面白くなってきました。期待してなかった分、素直にうれしいです。もう少し本質的な謎に近づいてくれると、さらに興味がもてます。

 ところで、アマプラの時間でですが11分29秒くらいのコゼット。膝から下の長さとそれより上の作画のバランスがおかしくなかったですか?短足すぎません?3DCGじゃあ?{/netabare}

3話見ました。
{netabare} タイタンって、マーラーの巨人ですよね?で、ベートーベンの運命と。クラッシックをモチーフにしているのに曲がかからないのはどういう意図なんでしょうか?

 いや、批判ではなくて、普通の感覚ではないので何か設定があるのかなあと。
 マーラーの巨人の第4楽章とかをバックに戦ったらものすごくカッコイイ絵になると思うのですが、なぜそれをやらない?シリアスシーン用にとってあるのでしょうか。ものすごく不思議です。

 手順…というのが気になるところです。ただ、2話で2人の連弾って、シングシングシングとかだったですよね?コゼットは悲愴だし…運命は主人公が主題をワンフレーズ弾いていましたが…

 タクトはそのまま指揮棒ですから、クラッシックに注目していそうで…コゼットって、レ・ミゼラブルの印象しかないのですが他にありましたっけ?

 とにかく「意味」をばらまいているような、ギミックだけのような…良くわかりません。

 なお、ちょっと面白くなってきました。感情または人格は取り戻せるのでしょうか。ベタでもいいのでハッピーエンドだといいですね。{/netabare}


2話見ました。EDの絵の雰囲気が良かったですね。

{netabare}  さて、音楽がストーリーに入ってきました。音楽と戦うこととの関連とか、なぜ敵が音楽を目の敵にするのかみたいなテーマ性に行き着いていないので、そこにどうやってたどり着くかがちょっと楽しみです。
 疑問に思ったのが人ってそんなに簡単に音楽を捨てるだろうか?防音室とかじゃ駄目なのかなあ、ヘッドホンでは?とか思ってしまいました。


1話見ました。CGはいいですね。非常に自然な仕上がりでした。ここ数ヶ月でまたレベルが上がった気がします。今後はこういう絵が増えて行くのでしょう。

 ただ、魅力および肉感、現実感、個性という意味では全然だめです。キャラ萌えができる3DCGがモデリングできるかはこれからのアニメ業界の課題でしょう。日本のアニメ、コミックという2次元コンテンツを支えてきた大きな要素はキャラ萌えです。
 が、すくなくとも今の3DCGレベルではキャラ萌えからの2次創作は厳しいでしょうね。このレベルの3DCGが続くとアニメの衰退期に入る気がします。近い未来に無くなるのは音楽じゃなくてアニメでした、というオチにならなければ良いのですが。

 テーマの音楽。マンガがこの世から消えるというマンガもありましたが、こっちは音楽ですね。そのテーマ自体は面白い試みだと思います。
 ただ、クラッシックがやりたいのか、独自曲を売り込みたいのか、良くわかりませんでした。戦闘と音楽が全然リンクしてませんし。音楽が盛り上がってくると能力が上がるとか、強力な技が出せるとかなかったですね。戦闘のきっかけにしか見えません。
 2回目以降で何か作品を象徴する音楽は出てくるのでしょうか。Supercellがクレジットされていましたが、どうせ3DCGでやるならボーカロイドでやればいいのにと思うのですが、声優優先なんでしょうね。

 ストーリーはこれからなので何とも言えませんが、コミカル感がちょっと痛い感じです。
 また、勢いだけの雰囲気もします。トレーラーの映像とか初期設定は興味もてるんですけど、なんか設定をやり散らかして好きなように話を進めるアニメが多いですね。なんか今期はこういうアニメが多いのでしょうか。本作もそうなるような予感がしてならないので、いい意味で裏切って欲しいです。

 もちろん、荒唐無稽でも設定に矛盾があっても、話が面白くて感情移入できればいいのですが、感情移入が3DCGでつらい以上は良い評価になるためにはよほど頑張らないと厳しいでしょう。{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 30
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

最初は面白くないが、いつの間にか大好きになった物語

この物語は、音楽が失われた世界で、コンダクター(指揮者)のタクトとムジカード(戦士)の運命の成長と活躍を描いた物語です。
正直言って最初は訳が分からないことが多くて面白くありません。
Openingも、最初は全然感動しませんでした。

でも、視聴を続けていると、物語の内容が少しずつ理解できて、感動するようになります。
そしてOpeningの歌と描写を見ただけで、悲しくて悲しくて泣けてきそうになります。
このOpeningには、深い哀愁が込められています。

Endingも、7話までと8話以降とでは、挿し絵が微妙に違っています。その違いの意味するものをつきとめると、複雑な思いが交差して心がこみ上げてくるでしょう。


主人公のタクトは、有名な指揮者を父に持つ卓越したピアニストです。
しかし、この世界では音楽は禁止されています。
歌ったり演奏したりすると、D2という異形の生物がやってきて町を破壊し人間を殺すためです。

コゼットはタクトの演奏するピアノ曲が大好きな明るい少女。
彼女の明るい笑顔にタクトはいつも癒されていました。
そのコゼットが{netabare} 亡くなり、彼女の体は、{/netabare}ムジカードの運命へと変わります。
ムジカードは、有名な楽曲の力を宿しており、D2を倒すことができる戦士のことを指します。

運命は、最初の頃は何も知らないので、非常識な行動をしてみんなを悩ませます。
しかし、運命は少しずつ心が成長していきます。
{netabare} 自分はコゼットという少女の体をもとにつくられたことを理解し、
コゼットの姉の深い悲しみを知り、タクトがいかにコゼットを大切にしていたかを知り…
でも、自分はコゼットではない。姿かたちはコゼットだが、自分はコゼットにはなれない。だから悩み、悩み…。{/netabare}
その心の成長が、とても感動します。
もしかして主人公はタクトではなく運命なのでは?と、思ったりします。
そして、いつの間にか運命が魅力的に感じるようになりました。

Openingは「タクト」、複数の人たちが歌っています。
Endingは「SYMPHONIA」、中島美嘉さんが歌っています。Openingとは趣が異なった美しい歌声です。


どんなに絶望な状況でも、音楽は希望をもたらしてくれます。
音楽は心を救ってくれます。
この物語の最後は、絶望ではなく希望への道なのでしょうね。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 41

70.7 10 クラシック音楽アニメランキング10位
のだめカンタービレ フィナーレ-finale(TVアニメ動画)

2010年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (429)
2389人が棚に入れました
千秋はマルレ・オケでの活動を軌道に乗せはじめていた。
一方、のだめは、オクレール先生から出される課題に追われる日々を送っている。コンクールに出たいという希望も先生に一蹴されてしまうのだめ。レッスンを終え、疲れ果てて帰宅したのだめを、さらなる不幸が襲う。なんと、千秋がしばらくの間、騒々しいアパルトマンを出て行ってしまったのだ…。
先を急ぐ千秋と千秋に追いつけないのだめ。のだめの焦りは募るばかりだった…。

声優・キャラクター
川澄綾子、関智一、松風雅也、大原さやか、伊藤静、浅沼晋太郎、日野聡、森川智之、清川元夢

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ドラマと比較して・・・#3

のだめカンタービレシリーズ最終章。1クールアニメ。
今回もまたドラマ(劇場版)と比較したいと思う。

アニメは端的に言えば「素晴らしかった」。
キャラ全員が本格的に音楽に没頭するため、音楽がさらに作品内で重要なポジションになる。また、ターニャとユンロンの卒業などの事情で千秋やのだめだけでなく、前回より色んな人の演奏とストーリーを垣間みることができる。

劇場版は前編、後編に別れているため、合計時間は4時間と、アニメシリーズと尺は同じだ。
だが、アニメは30分づつ区切っているため物語の展開が早く、また曲をより多く紹介することができていた。

音楽に関しては一曲に対する時間割は演奏自体を作品のクライマックスにしているため、ドラマの方が圧倒的に長い。
マルレオケの演奏を例に出すと、劇場版では合計15分以上費やしているのに対して、アニメではわずか2分だ。

しかし、各話に2〜5分の演奏が散りばめられていて合計時間ではアニメの方が演奏に触れているだろう。

フィナーレのドラマは映画だけあって映像美はドラマの比にならないレベルに達している。しかし、尺に無理があるのか物語を完璧に千秋とのだめだけの物語に納めてしまっている。

アニメでは音大生の日常やプロ音楽家の活動というものをリアルに描けている。そういう意味ではアニメの方が前二作とは違って人間ドラマとして完成度がドラマより高い。


最終地点はドラマもアニメも同じなんだが、そこまでの内容の濃さが両作の決定的相違点となっている。
私はこのドラマとアニメはまったく違う作品として捉えるべきだと思っている。

だが、あえて比較するならアニメの方が良かった。



のだめカンタービレの総評
一期、二期ではドラマの方が人間ドラマとして秀逸だと以前レビューで書いたし、一期に関してはドラマの方が完成度が高いとも書いた。

だが、三作品を合わせて評価するとしたら、私はアニメを視聴することをオススメする。
原作は未読だが、明らかにアニメの方が原作に近い内容になっている。キャラクター、物語の内容、音楽の質と説明は比較するまでもなくアニメの方が優れている。

ドラマは物語を盛り上げることには優れているが、ドラマスペシャルと劇場版では音大生として日常を描き切れていなかった。まぁ、これは仕方の無いことなんだが。

という訳で、のだめカンタービレを深く知りたい!というのならばアニメをオススメする。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 12

しょうすけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

何回見ても良いですd(^-^)ネ!

もう何回目なのか数えてもいないがwまた1期から一気見しちゃったけど何回見ても良い!!
ストーリー的には1期のが展開は良かったかもだけど完結編で綺麗に終わってるので思わず物語は5.0にしちゃいましたw
音楽も1期のが良かったかもだけど…まぁ1期はオイラ的には10.0くらいなのでwこれでも十分5.0でw

また忘れた頃に見直して涙でも流そうw

取り敢えず…
演奏出来る人は楽器を弾きに走り…
弾けない人はクラッシックCDを買いに走りたくなるアニメかとw

まぁ今更ですが…w

投稿 : 2024/12/28
♥ : 7

sobako777 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

ますますパワーアップして、やはり傑作だったと再確認できる!

益々面白さを増したフィナーレ篇! そして1期、2期に引き続き、アニメCGとは思えないほど繊細で自然な演奏シーンでの指先の動き(特にのだめのピアノ)! 結末が余りにもキレイにあっさりとまとめられすぎな感はあるが、それでも、充分、納得できる出来栄えだ! エリーゼ役の声優の演技がちょっと耳障りだが、それ以外は期を重ねる毎に更にパワーアップし、コミカルな部分もシリアスなシーンも、アニメならではの魅力を存分に発揮していて、見直す度に、やはり傑作だったと再確認させられる。実はテーマも深いし、凄い作品だなー!

投稿 : 2024/12/28
♥ : 8

70.3 11 クラシック音楽アニメランキング11位
ピアノの森(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (255)
1116人が棚に入れました
 森に捨てられたピアノをおもちゃ代わりにして育った主人公の一ノ瀬海が かつて天才ピアニストと呼ばれた阿宇野壮介や 偉大なピアニストを父に持つ雨宮修平などとの出会いの中でピアノの才能を開花させていき やがてショパン・コンクールに挑戦するまでを描く、感動のストーリー。

声優・キャラクター
斉藤壮馬、諏訪部順一、花江夏樹、白石涼子、大地葉

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ピアノ一色

森に佇む古びたピアノ。
そのピアノに魅入られた少年の旅が今始まる。

約10年前に公開された劇場版ピアノの森。
この時は幼少期しか描かれませんでした。
今回のテレビ版は声優陣を一新したリメイク&続編。
1期はショパンコンクールのとっかかりまでです。

オープニングからしてショパンチック。
主人公海(かい)の心情を表現しているよう。
流れるような旋律が激しい潮流を想起させます。

海は自由奔放で天才的な弾き手。
一方の副主人公修平は精密な努力型の弾き手。
彼らの対比により物語は進行します。

修平の苦悩は、どうしても海を超えられないこと。
だけど、越えようと思う時点ですでに己に負けている。
独自の境地に達するにはまだまだです。

世界各国の若手ピアニストが集うショパンコンクール。
丁々発止の2期が大いに楽みなところです。

ところで演奏は新進気鋭のピアニストとのこと。
演奏風景等なかなか演出に凝ってますね、NHKさん。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 19

takeboo さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

最高のピアノアニメ

第一期視聴完了。
意外な低評価の多さに驚いている。
確かに、CGは不自然なところもあるけど、指の動きが楽譜に忠実で頑張っている感があるので、これはこれでいい。原作を端折ったところが多々見受けられるが時間の制約上仕方のないところか。三期までやるのがちょうどいいくらいだったと思う。半年も空いてしまうのは長すぎるかな。せめて三ヶ月にしてほしい。
ピアノをこよなく愛する私にしたら、今回の12話は感動的すぎて、三回連続して観て涙した。上手すぎる。海役のピアニストは一体誰が担当しているか気になって夜しか眠れない。(笑)色々想像しているが、最後は明かしてくれるんだろうか?海の演奏のサントラ買おうかなぁ。

一期は今後の期待値も込めて98点。
二期が残念だったので一期は95点にします。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 8
ネタバレ

ezo さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

作画と尺に泣かされた名作

1話目感想
{netabare}
1話で主人公が大舞台に立ってから小学生時代の回想へ。

これは主人公がピアニストになるまでの物語なのかどうなのか。

今期は続編、リメイク、スピンオフ、ショートアニメが強くて新規タイトルの30分アニメが軒並み今一つな印象だったけどこれは良さそう。

欠点を挙げるとすれば演奏シーンのCGの違和感かな。

そこのクオリティがもっと高ければ完璧な1話になっていたと思う。

{/netabare}

2話目感想
{netabare}
子犬のワルツを弾くために練習曲をひたすら弾く海。

ピアノを教えてもらった取引としてコンクールへ出ることへ。

演奏シーンの引きのCGがまだ違和感があるけど内容は文句なしに面白い。

やはりこの作品が今期のトップ候補になるのか。
{/netabare}

3話目感想
{netabare}
コンクール開始。誉子は今作のヒロイン的なキャラなのかな。

雨宮の演奏は完璧だったけど海はあの演奏を超えることが出来るのか。

続きが気になる引きで次回が早く観たい。
{/netabare}

4話目感想
{netabare}
海のピアノは確かに凄いけど型にはまった演奏が評価されるコンクールでは評価が難しい。

4話目にして少し泣いた。
{/netabare}

5話目感想
{netabare}
海は予選落ちだったけど誉子や修平を含め、多くの人に影響を与えた。

それでも修平はコンクールに勝つ為のピアノを弾ききった辺り彼もまた凄い。

天才と秀才、人の心を動かすのは天才だけどコンクールに求められているのは秀才なのだろう。
{/netabare}

6話目~8話目
{netabare}
小学校編から高校生編へ。

高校生編になってからはやや面白さが落ちるもののそれでも安定して楽しめている感じ。

{/netabare}

9話目感想
{netabare}
舞台はワルシャワへ。

作画は厳しいし展開は早すぎるし色々気になる点はあるけどそれでも面白いのはそれだけ原作が秀逸ということなんだろう。

光生は予選敗退だけど良い奴だった。
{/netabare}

10話目感想
{netabare}
有力候補が続々登場。

雨宮の演奏も楽しみだけどカイの演奏も早く聴きたい。

作画とかは相変わらず良くないけど話はとても面白い。
{/netabare}

11話目感想
{netabare}
雨宮は流石だが精神的にかなりキツそう。

周りからの期待が大きいレフもプレッシャーが凄そう。

皆が色々なものを抱え望むショパンコンクール、次回はいよいよカイの出番。来週が楽しみ。
{/netabare}

12話目感想
{netabare}
観るというよりはカイの演奏を聴く回という感じだった。

1クール目の締めとしてはキリの良い回だったと思う。

続きは2019年の1月から。これからも楽しみ。
{/netabare}

総評
{netabare}
個人的には小学校編はここ数年のアニメでも最高クラスに楽しめていました。

高校生~ショパンコンクール編も面白さはやや落ちたものの春アニメの中では一番シナリオは面白かった。

もったいないのは2クールで終わらせなければいけないが為のカットの多さ。

そしてなんといっても手書き部分の動かない作画(特に高校生編以降)とCGの違和感。

この作品に限らずCGモデルを各所に使用するアニメ作品は多いが、この作品は常時の作画のクオリティ、CGの出来共に完成度か他の作品と比べ低く、慣れるまでに大分時間がかかりました。

内容だけ見れば名作なのは間違いないだけに非常にもったいないアニメ化に感じました。

とは言っても2018年春アニメでは一番続き楽しみにしていた作品だったので2019年1月から始まるシーズン2も楽しみに待っています。

それまでには少しでもクオリティが上がることに期待。
{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 10

64.0 12 クラシック音楽アニメランキング12位
金色のコルダ~Primo Passo~(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (170)
1111人が棚に入れました
星奏学院は音楽科と普通科が併設された伝統ある高校。普通科2年生の日野香穂子は、ある日、学院に住む音楽の妖精・リリに見出され「魔法のヴァイオリン」を託されてしまった。魔法のヴァイオリンを手に権威ある学内コンクールに挑む事になった香穂子だが、コンクール参加者は、音楽科のエリートばかり。香穂子を取りまく恋、友情、そしてコンクールの行方は…。(公式HPより)

おつかレイア さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

何度も繰り返し観てしまう。

原作はコーエーから発売されている有名乙女ゲームです。

私は「金色のコルダ」「金色のコルダ2」をプレイ済みで、漫画化しているのを知らずアニメから入りましたが、あの原作のあるかないかわからないストーリーをよくここまで消化したなという印象です。キャラの特性やテーマをわかりやすく盛り込みつつ、それぞれの音楽との向き合い方や成長のストーリーをオリジナルのエピソードや設定を交えながら非常に上手く描かれています。恋愛ものというより青春ものといった感じです。

ある日妖精を見てしまったことから学内音楽コンクールに出場することになってしまった普通科の主人公・香穂子が、魔法のヴァイオリンの助けを借りて初めて音楽の世界に足を踏み入れることになる。初めは右も左もわからず戸惑うも、コンクールに関わるうち次第にヴァイオリンに魅せられ、何よりも音楽を愛するようになるその過程と、それ故の苦悩と葛藤…このあたりが一番の見どころでしょうか。
クラシック音楽というひとつのジャンルを通し、憧れ、努力、情熱、友情といったかけがえのないものを得るという、まさに青春物語の王道といえます。(ライバルと切磋琢磨の要素がもっとあればより面白かったかな?)
主人公・香穂子のキャラクターも、ゲームでは無個性(ドラクエのようにしゃべらない)だったのがほどよく味付けされていて、嫌味なくバランスのよい可愛らしさになっていると思います。

ただ漫画ほどではないですが、最終的にみんなが香穂子を好き好き逆ハーレム状態になるので、これをほくほくととるかウンザリととるかは人によるかと。メインヒーローとがっつりくっつくような恋愛模様は見られませんので、恋愛ものを期待されてる方はご注意を。学生らしい甘ずっぱいドキドキは十分に堪能できます。音を合わせるというだけの行為が、直接的なスキンシップよりよっぽどロマンチックであることを知りました。

しかしこの作品の醍醐味はなんといってもやはり『音楽』でしょう。劇中で流れるプロの奏者による素晴らしい生演奏は聞きごたえ十分。
基本的には女性向けですが、男女問わず音楽好きな方に是非観てもらいたい作品です。クラシック音楽がますます好きになります。
ちなみに私はこれの影響でヴァイオリンを習い始めました(笑)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 5

koaki さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

順序は逆だけど『うた☆プリ』のクラシック版ファンタジー

乙女ゲーム原作、未プレイ。
音楽に関しては素人だった主人公が、リリという音楽を司る妖精に選ばれ、
学内音楽コンクールに出場することになる。
最初こそ、魔法の力でなんとかバイオリンを演奏するが
バイオリンに魅了され、音楽が好きになるにつれ
みんなを騙しているという罪悪感を持つようになり苦悩する。
クラシック音楽を通して苦悩、葛藤、友情、努力を描いた
青春王道ストーリーです。

本作の方が先だけど、最近で言うところの
「うたの☆プリンスさまっ」のクラシック版ってところです。

逆ハーレム状態だけど恋愛にはならない。
主人公で作曲家志望の七海 春歌役が、
普通科でバイオリン未経験の日野 香穂子

他のアイドル達が、学内音楽コンクールに出場する音楽科の面々
最初アイドルに興味のなかった愛島セシル役が、
サッカー部の土浦 梁太郎
ミラクル学園長が、妖精のリリってところかなぁ

バイオリンだけでなくピアノやフルート、チェロ、トランペット等
手軽にクラシック音楽も楽しめるし、キャラの見せ方もうまいので
安心して観られると思います。
音楽モノは観るとはまるので避けていたんですが
気になって観だしたら止まらなくなりました(^◇^;)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 6

いぶちゃん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

クラシック

『金色のコルダ』のゲームから入った口ですが
興味のなかったクラシック音楽を
良く聴くようになったのは、
このコルダの影響だと思います。

音楽の妖精ファータが見えてしまったばかりに、
魔法のバイオリンを押し付けられ、学内で開かれる
音楽コンクールに出なければならなくなる
普通科の女の子のお話です。

音楽が繋いでくれる絆、
音楽で広がる視野、
魔法のバイオリンにより
みんなを騙していると言うことへの
主人公の葛藤。

ゲームから入ったからでしょうか・・・
ウルウルしながら見たアニメでした。

アニメはコンクールが終わってしまうと
あっさり終わってしまうので、
もう少し続きが見たかったなーが
正直な感想です。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 4

62.9 13 クラシック音楽アニメランキング13位
ハーメルンのバイオリン弾き(TVアニメ動画)

1996年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (21)
135人が棚に入れました
月刊少年ガンガンに連載された同名コミックを『機動武闘伝Gガンダム」の今川泰宏によるシリーズ構成でアニメ化。青年ハーメルと少女フルートが暮らす辺境の村を魔物が襲撃。実は公国の王女であるフルートが魔物の狙いだった。ハーメルは特大のバイオリンによる魔曲を奏でて魔物を撃退し、フルートを公国へ送る旅に出発。だが到着したハーメルは大魔王ケストラーの息子として捕まってしまう。はたしてハーメルそしてフルートの運命は…。

声優・キャラクター
うえだゆうじ、飯塚雅弓、辻谷耕史、緒方恵美、千葉繁、島本須美
ネタバレ

おなべ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

今はいない子供のための子守歌

原作は渡辺道明による漫画作品。
アニメ版を全話見た後に、原作漫画を立ち読みしたのですが、本当に何もかも違うんですよね…。


原作はシリアスな物語の最中に随所に突拍子もないギャグが挿入される特異な作風に対し、アニメはギャグ要素ほぼなし(始めの4話くらいには少しだけあります)のシリアス一辺倒。元々が暗く重圧な物語であるのに、原作の持ち味でもあるギャグを一切抜いた為、全力投球のシリアスで鬱屈とした作品にアニメはなっております。

また、キャラクターの立ち位置や性格も異なっている為(ぶっとんだ原作キャラの性格が良い意味でも悪い意味でも”普通の人間”に解釈されています)ほぼ別人です。
原作の要素がほとんど無くなっている為に、所々で「黒歴史」「アニメなんてなかった」と言われるのも無理が無いかもしれないな…と思いました。



ただ、こちらのアニメ版は原作と違う作風ではあるものの、「ハーメルンのバイオリン弾き」を違う表現で描いた一つの物語として完成されていると見終えて感じました。

人と魔族の間で葛藤する主人公ハーメル、王女の宿命を背負わされたヒロインのフルート、憎しみと友愛を彷徨う親友のライエル、復讐しか知らない愛に飢えた孤独の天使サイザー等、主要キャラクターの愛憎や情念に満ちた描き方。

そして運命に翻弄され続けたヒロインの最後の選択がとても印象的でした。悲哀に締め括られる物語(後味が悪いとも言います)、主要キャラクター達の想いの報われなさがただただ虚しく、やるせなくなりました。人が死ぬ全滅エンドではないのですが、想いを昇華出来ずに今後とも過去に縛られて生き続けなければならない結末は、もしかしたら死ぬ事よりも辛いエンディングなのかもしれません。

最後の…
{netabare} バイオリンを弾きながら哀しげな表情をしているフルートが、もう胸に来ましたね。恐らく村での出来事が出て来るエピローグは、フルートの妄想なのではないかと思っています。あの時、使者を助けさえしなければ、魔族が復活しても愛するハーメルを自分の手で封印することはなかったでしょうし…。フルートは劇中何度も「どうしてこんなことになっちゃったんだろう」と村の平和な出来事を回想していたので、余程あの日の選択を後悔しているのではないでしょうか。
「本当綺麗、まるで…」で終わる〆方もニクいです。台詞は「まるで夢みたい」と言いたかったのではないかなあと。恐らくあの台詞でフルートの妄想は終わるのだと思います。 {/netabare}

物語を彩る田中公平氏が手掛けるクラッシック音楽も素晴らしいこと!
随所合わせて奏でられる音楽は、儚く美しい世界観を格段に魅了的にしています。音楽は多彩な楽器を用いた、まさしくこの作品に相応しいものばかりに仕上がっていました。サントラが是非共欲しいところです。


主に賛否が激しく別れるのは作画…でしょうかね。作画の質やキャラデザは毎回安定しているのですが(中島敦子氏のキャラデザは耽美的で非常に美しい作画となっています)、兎に角このアニメ、動きが少ないです。静止画と動画のメリハリの演出は美しいと感じる反面、紙芝居と評される塩梅でもあるのでかなり好みが別れるところではないかと。

後は後半が駆け足気味なこと。少々説明台詞が増えて、余裕が無くなって来ている事が察せました。これはどうも、1年かけて製作するつもりが2クールになってしまったこともあるようです。それでも、物語を途中でぶん投げたり、二期に続くよ!と言わんばかりの尻切れトンボ状態で終わらずに、きちんと完結させたのは評価出来ました。



原作とは別物である為、アニメ版は評価が芳しくない模様ですが、美しい音楽・キャラデザ、暗く重い物語や、愛憎に満ちたキャラクター達の人間くささ、そして悲哀で余韻の残る物語の静かな終わり方に私はとても引き込まれて見れました。余談だと、たまーに鬱アニメとしてあげられています。強ち間違ってはいないかと…。
美しくも哀しいダークファンタジーが好きな方は是非。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 8

あらにぃ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

タイトルなし

原作を読み続けて ああ ギャグが邪魔だなと
思ってたので それらのギャグを完全に削除して
原作とは違う 流れとストーリで進められていく展開に ハラドキで
とても楽しめました

原作の ハーメルの苦悩 フルートの戸惑い ライエルの赦し
が 全部ギャグで誤魔化されてるのにたいし
キャラクター全員が自身の感情を
真摯に受け止め その 結果は良くも悪くもすべてを巻き込み終末を迎える
物語は きっと原作勢の求めるものとは違うのでしょうが
私は凄く好きでした

投稿 : 2024/12/28
♥ : 0

66.1 14 クラシック音楽アニメランキング14位
青のオーケストラ(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (157)
454人が棚に入れました
バイオリニストの父の影響で中1まではコンクールで活躍していた青野一(あおの・はじめ)。父親が家を出たことでバイオリンから離れ、無気力になってしまう。しかし、中3の秋に秋音律子(あきね・りつこ)と出会い、初心者の彼女にバイオリンを教えることで再び音楽と向き合っていく。 音楽の楽しさを再確認した青野は、秋音とともに強豪オーケストラ部のある海幕(うみまく)高校に入学。ライバルや仲間たちと切磋琢磨し、自分自身や過去と対峙し才能に磨きをかけていく。青野だけでなく、家族や才能をめぐるさまざまな悩みを抱える部員たち。それぞれに乗り越えながら、定期演奏会に向けて自分たちの演奏をともに作り上げていく。音楽で心を通わせていく、青春群像劇。

声優・キャラクター
青野 一:千葉翔也
秋音 律子:加隈亜衣
佐伯 直:土屋神葉
小桜 ハル:佐藤未奈子
山田 一郎:古川慎
立花 静:Lynn
羽鳥 葉:浅沼晋太郎
原田 蒼:榎木淳弥
青野 龍仁:置鮎龍太郎
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

追憶の追奏曲

吹奏楽部の練習の厳しさもしっかり描写されていたし、とても面白かった!
青野君と佐伯君の関係性が好き
そして音がとても心地よく、クライマックスシーンの演奏がとても心に響きました

この作品は女子部員目線で文化系男子主人公を描いているのでぎこちなさを感じる人は多そうです
男子はやたら草食系寄りでやりとりが女性的だし、女子同士のやり取りが自然だから女性作者かな?と思ったらやっぱり女性でした
途中、主人公を放置して律子が主役みたいになっていて、青野君の物語よりもリアリティがありましたね
スポットライトを当てるキャラクターが多く、一人一人の掘り下げが足りてないのが惜しいかな?
この尺で物語を描くならもう少し目立つキャラクター減らしても良かったかも?

【ネタバレあり】
{netabare}
・青野君の父親のエピソード
これはいらないかな? 
父親の名前出てくるたびに青野君がトラウマ思い出して話の進行止まるし、話も感じ悪いだけで面白くないし、作品全体のテンポと雰囲気を悪くしていると思う、佐伯君との関係はびっくりしたけど、これを描くためにやってきたのかって思うと微妙に感じた
特に仮入部の時に青野君目の前にしてみんなでスキャンダルの話を始めたときは嫌な気持ちになりました

・律子とハルへのいじめ
さすが女性作者・・・女子の陰湿な集団イジメがよく描かれてますねー
学校は何やってるの?

・立花さん
この子と性格そっくりな子が知り合いにいて、最初はすごく苦手だった
立花さんの態度も悪いけど、律子たちが悪口言っていじめるのも感じ悪いですね
あれだけ態度最悪だった立花さんが律子達の頑張りを認めて急に態度が柔らかくなったのも
こういう素直になると急に変わる女いるよねーって思いながら見てました
{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 27

アニメアンチの憂鬱 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

カノン砲炸裂!!

「四月は君の嘘」を「エヴァ」のシンジとアスカでアレンジしたような作風が意外にも程よい感じで
予定調和しており、ある意味「のだめカンタービレ」の成功例で保障されたような
音楽を題材にした安定的ドラマ路線の軌道に見事乗っかり、物語は着実に進んでいくのでありました。

主人公を悩める中学生にしたのが大成功で、感情移入がしやすく、更にそこに追い打ちを
かけるようにして「ヴァイオリン」の音が支援攻撃してくるわけありまして、
一撃必殺の「カノン砲」の威力たるや恐るべしと言ったところであります。

1クール作品という条件では音楽の力を最大限に利用した本作に絶対的優位性があり
(改めて調べてみたら2クール作品のようでありましたが、それは兎も角として)
完全勝利は「カノン砲」の破壊力により揺ぎ無いようにも思われます。

意識されるのは「四月は君の嘘」でありますが、期待値はかなり大きく
本作は今期の大本命たること間違いなしと確信するものであります。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 2

しろもすマン さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

全編3DCGにすべきだった

7月30日放送の第17話の驚愕展開で「おいお~い(ちょっと予想してたけどな!)」となり、この先3回分が放送休止との告知に「おいおいおい!(あ、甲子園か)」
アカン我慢できない。3週間お預けって、ないわぁ・・・ので、原作単行本11巻を大人買いした。いや、ずっと気になってたんだけどね。
それでわかった。アニメ17話は、まだやっと単行本4巻の最後のほうだと。クラシックの曲を流すのに相応の尺が必要だってことはあるだろうけど、それでもこのアニメ作品がとても丁寧に、原作を大切にしつつ作られていることがわかった。
だからこそ作画について言いたい。何故、全編をフル3DCGにしなかったのか、と。演奏シーンになった途端にCGになるから、一部のCGギライ層が騒ぐのである。しかも手描きシーンはしばしば作画崩壊ちっくになる。その落差が激しすぎる。
だいたい、監督が岸誠二氏である。あの、セルルック3DCGアニメの金字塔「蒼き鋼のアルペジオ~ARS NOVA」(2013年)の監督である。せっかく岸さんなのにぃ!である。
そう、CGアニメガー!ゆう人たちは一定数いる。が、もはやマイノリティである。ピクサー・ディズニーのアニメで育った若い世代は、いまどきCGだからなどという理由で取捨選択はしない。ただ、作画がスムーズにつながっていないのは、やはり気になるのだ。
演奏シーンに関しては、CGであるおかげできちんと動いている。なんせ同じNHKアニメの「ピアノの森」はひどかった。ピアノ演奏シーンになると、ほぼ静止画になっていた。まあ指を、それもショパンの速い曲で動かすのは相当の時間と労力と金がかかるわけだけど。その点、この作品は演奏シーンはリアルに動いている。
別の手描き音楽アニメと比べてる人がいるけど、ブラスバンド部に弦楽器はないからね。吹奏楽器を吹く仕草なら、ピアノや弦に比べてずっと作画は容易だろう。
あと、オーケストラの指揮者や奏者は、そんなに大きなアクションしないぜ?身振り手振り激しい指揮者や、コンチェルトなんかでソロの人が髪を振り乱して演奏する場合はあるけど。
結論として、作画はちと残念だが物語はすばらしい。親ガチャ勝者だったはずの主人公が、その父親ゆえに大変な挫折を味わう。けれど、周りの仲間たちや、教師たち(ほんといい先生!)の指導で奈落から這いあがって行くという、ド根性青春ちょい甘ずっぱ感動ストーリー&名曲演奏。変な先入観や偏見を持たずに、そして作画に少々目をつぶって観てほしい。
で、原作。12巻を早く!お願いします。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 4

58.4 15 クラシック音楽アニメランキング15位
クラシカロイド(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (90)
338人が棚に入れました
音楽で町おこしをする地方都市に住む高校生・歌苗(かなえ)と奏助(そうすけ)の前に、“クラシカロイド”を名乗るベートーベンとモーツァルトが現れ、2人が奏でる音楽「ムジーク」の奇妙な力で、星が降ったり、巨大ロボが現れたり、騒動が起こる……というストーリー。バッハ、ショパン、シューベルトなどのクラシカロイドも登場する。

音楽はクラシックの名曲をポップス、ロック、テクノなどにアレンジしたものが使用される。


声優・キャラクター
杉田智和、梶裕貴、小松未可子、島﨑信長、鳥海浩輔、能登麻美子、前野智昭、遠藤綾、M・A・O、楠大典、石田彰
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

なかなか楽しくて個人的には好きなんだけど、正直コメントに困るアニメ

2016年10月から2017年3月放送。全25話。第2期が2017年秋放送開始予定です。
本作は続編に繋がる部分を示さず終わったのでストーリーも星評価しています。

一言で言うと、うっすらメインストーリーがあるシュールギャグアニメ。
全体の印象はシュールなNHK番組とサンライズのアニメーションの融合作品という感じです。私はどちらの雰囲気も好きなので、馴染んだ感覚で楽しめました。ロボットアニメみたいな演出もたまにあって凄く笑ったw
結構楽しみにリアタイ視聴していたものの、正直感想に困り今まで放置してしまいましたw

制作側がフリーダムで楽しんで作っているのがわかりそれが良い所でもありますが、嫌いな人もいるだろうと思います。シュールギャグにもシリアスにも振り切っておらず、本筋がわかりやすいと言えないのもちょっと見る人を選ぶかな。


秀逸な服飾デザインと地味なキャラクターデザインが好きで、それにマッチした明るくのどかな背景が個人的には見やすく、ムジークシーンはカラフルかつファンタジックで、そのギャップが映像として良かったです。

音楽は本作のコンセプトでもあり、全体的に素晴らしかったです。ムジークを使ったEDが凝っていて、毎回の見所でした。ムジークのCDとその原曲を収録したCDがNHKから出ていますが、アマゾンのクラシックCD売り上げランキングで結構高い順位につけていたのが何だか面白かったですw
クラシックの原曲を現在活躍中のアーティストが「ムジークプロデューサー」としてアレンジし、それを劇中で使うのが本作の売りで、一人の音楽家を決まったアーティストが担当。
リストのハンガリアンラプソディとベートーヴェンの第九が以前から好きなので使われて嬉しいですね。
サウンドトラックも、一部クラシックのイントロを使用している部分もあったりでとても良かったです。


【良かった所】
{netabare}バッハ様の渋い格好良さ、女の子たちのカワイイだけじゃない可愛さ、パッド君やハッシー、ぎょうな君といったシュールなマスコットも凄く好みでした。

割とはっちゃけた内容の根本にクラシカロイド達の音楽に対する向き合い方も感じられたのが良かったです。
こういうアニメは昔のアニメのように1年以上の長期間毎週放送する方が合っていると思うのですが、分割4クールならこれから意外とそういう感じになるかも?


音羽館と歌苗がクラシカロイドと現代を繋ぐ役割を担っていて、その二つがクラシカロイド達を行動させるのはかなり好きな部分でした。
歌苗もクラシカロイドに振り回されるだけにならず、りっちゃんがフォローしたり、女子会回ではっちゃける姿も見られます。

バッハが歌苗に一目置いているのも、物語を進めたりバッハの考えを提示する一助になっていて上手い。
バッハは音楽そのものをすべての人々を繋げる画一的な理想として考えていて、八音たちが成長し覚醒すれば自分と同じ考えに至ると考えていたと思います。でもベトとモツはそれぞれの曲あるいは作曲家や聞き手に別の個性があって、作り方も受け取り方もそれぞれ違っていいと思っている。というか本人たちはそんなこと考えていなくて自分のやりたいようにやっている。
おそらく他の八音もそうだと思うんです。チャイコが最終話でバッハに自分たちに何も言わないことに不満を述べていました。バッハ自身が思っているほど、彼は完璧ではないのですね。言わなくてもわかってくれるとか、自分の考えは正しいとか、団塊世代のお父さんみたいじゃないですかw
ベトとモツの結論をバッハは未熟な考え方として聞く耳を持たず、力でねじ伏せようとします。しかしそこで反対意見を述べて受け入れられたのが歌苗でした。現代人であり、まとまりに欠けるクラシカロイド達と四苦八苦しながら人間関係を築いてきた歌苗だからこそ、バッハの理想に一石を投じることができたのだと思います。

歌苗にはラストでも意外な活躍シーンがあって、作品の中心人物として一貫して描いていると思えてとてもよかったです。


もう一人の主人公ともいえる奏助ですが、良くも悪くもヒドいwでもその分周りに振り回されたり酷い目に遭ったりしていて、憎めない描き方になっていると思います。
こういう点は本作はきちんとバランスを取っているので一つの見所ですね。


それからNHKの子ども番組に私は慣れている方なので思うのですが、本作の狙いって「子どもがどんな形であれクラシック音楽を耳にする機会を増やすこと」だと思うんですよ。これはちゃんと徹底していると思う。前述のとおりCDもそれなりに売れたみたいですし、原曲CDのブックレットが凄く凝っていてそれもNHKらしいなと思います。
アニメの内容はシリアスでもコメディでも子どもに見せるのに不適切でなければそれで良い。ぶっちゃけ子どもにわからないと判断すれば、バイト回での893ネタとか、大人にはヤバく見えるものも割とゆるく入れてしまう。(ただ今はインターネットに触れる若年の子も多いので、このあたりの認識は改めた方が良いのかなあ?と個人的には思う時もあるんですが)
逆にエロに対しては厳しくて、リストのバニーコスがホットパンツタイプの露出の低いものになっているし、ジェンダーの視点で偏りが無いよう、白鳥回では異性も男性同士も女性同士もカップル成立させてバランス取っていたりする。ていうか、これが監督や脚本の悪ノリだとしても私の観てきたNHKは通しちゃいそうな気がするんですよねw
それなりに長いこと教育テレビ見てきて、この辺がいかにもNHKらしいなと思いました。
{/netabare}


【気になった所】
{netabare}6の倍数の話数に本筋に関わるストーリーを挿入していますが、「ブレイク・スルー」と「ちがいのわかるおとこ」はもっと早い話数にしてほしかったかも。お話自体は嫌いじゃないんですが、21話・22話にはもう少し本筋に絡む内容を持ってきた方が、ラストへの流れがもっと良くなったと思います。

音羽館のパイプオルガンの伏線が回収されなかったのが残念なんですが、続編でフォローあるかな?
歌苗の父親が良くも悪くもフリーダムで娘に結構迷惑かけてるのが個人的には気になる。まあ歌苗が強くなってあまり気にしていないようなので良いのかもしれませんが… {/netabare}



かなり好き嫌いが分かれるだろう作品ですが、私は女性キャラの描き方が好みだったこともあってなかなか楽しめました。
2期も視聴しますが、監督など一部の主要スタッフが変わるのでどんな風になるのか読めませんが、クラシカロイドらしい続編になればいいなと思います。(2017.9.21)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 11

「ひろ。」 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

確かに評価に困る作品ですねw。

かつて放送当時に1話をお試し視聴した記憶はあるのですが
「何か訳が分からないアニメだな~」と自分の中でパッとせず
実質1話切りしていました。

数週間後、出張先のビジネスホテルでたまたま何話かが放送されてるのを観て
「意外に面白いかも・・」って感じてたけど、結局放置してました。

で、先日何気にTVつけてたら2期1話を偶然視聴することとなり
「あれ?、けっこう面白い??」と興味を惹かれ
再度1期1話を視聴した結果、ハマってしまいました!!。

~序盤での印象です~
・杉田さんボイスがいい!。勢いで作品をひっぱっていってくれてる感が^^。
 序盤数話での次回予告の語りは四畳半の主人公彷彿させられたw
 ・・っていうか、後から気付く石田さん、能登さん他、超豪華声優陣!!!。
・今みると、けものフレンズのクラシック奏者版!??。さらにハッシー!!?。
・クラシック音楽のことほとんど知らない自分にとって
 すっごくいい音楽教材のように感じます。布袋さんも参加されてるのですね
 ・・っていうか、後から気付く他にも超豪華アレンジャー陣!!!
 サントラとかあるなら買ってしまうかも・・・。
・すごいカラフルで目まぐるしく変化する「ム○ーク」
 自分が一番好きな某作品のゼロ時間やアプリボワゼ的な魅力を感じてしまう。
 他にも、お屋敷?に夕日が差し込んでくる時間帯の黄色っぽい感じ~柿色っぽい
 色合いと雰囲気も自分が一番好きな同作品を思い出させます。
・EDの絵画的な描写は、ギアスのED思い出しました
 こういうタッチでの表現いいですね!!。

~中盤での印象です~
・何この神作品(音楽の)!!
・チャイコちゃん、幼○戦記だったのですねw
・チャイコちゃんの方言なまり、かわいすぎます!!!♪
 一番のお気に入りキャラになってしまいました^^。

~終盤での印象です~
・なんか中盤以降、本筋を見失っているような・・・
 無理矢理何かでつないでる感というか、ストーリーも雑というか・・
・モツさんのキャラ付けはもちろん必要だと思いますが
 ちょっとしつこく感じてきて、ウ○さの方が強くなってしまった?。
 ギアスでのマオ思い出してしまいました。
・序盤から中盤で感じた「何この神作品(音楽の)」という
 自分の感想を返してほしいw
・作中でアレンジ曲を流すのはもちろん良いと思うのですが
 さっき流れたばかりでまたEDでも流すのは逆効果では??。
 むしろEDでは原曲で流してもらって両面から楽しませてほしいかな?。

~ラスト2話での印象です~
・予想外だけどかなり盛り上がって楽しませてもらいました^^。
・サムライフラメンコ思い出しましたw。いろんな意味で。
 (そういえば杉田さん繋がりでもありますね)
・やっぱチャイコちゃん最高でした!
・ラストは完璧に〆てくれたので、トータルでの満足度は非常に高いものでした。
 終わり良ければ全て良しです!!!!!。


~あとがき~
・今まで持っててもほとんど聴いたことのなかったクラシックCDを
 たま~に聴いてみたりするようになりました♪。
 ムジークと聞き比べることで、それぞれに今ハマりつつあります♪。
 クラシック音楽への興味を持たせてくれたという点において
 本作は非常に素晴らしかったです!!。
・アニメ本編については・・
 神作品になり損ねた作品?、いや、やっぱり神作品!??っていう印象ですw。
 非常~に惜しい感じですが、そういったシュールさを狙って作られている
 と思いますので、作り手さん的には思った通りなのかもですね。
 細かいところでもかなり不意に笑わせてもらいました。
 顔文字の使われ方も大好きでした!。
・まだ1周視聴のみでの感想ですので、さらに2周3周すると
 どんどんいろんな深みが増していく作品のように思えます!!(確信)。
・観てよかったし、結果大好きな作品となりました^^。

・まさかの2期!?で、さらにクラシカロイドが増えてくると思われますので
 登場キャラに関連付けて原曲もどんどん楽しんで知っていきたいと思います!。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 6

筒井筒 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

いろいろ、リアルとフィクションの世界の幅がすごい。

音羽博士によってつくられた、人間じゃない生き物クラシカロイドが、有名な音楽家の名前をしていたり、ムジークというクラシックを異能化しちゃうタクトがどこからか現れたり、それによって不思議なことを体験したりするけど、結局、クラシカロイドたちが、ふつうに楽しく、時に厳しくなんかしてる話。
クラシカロイド2より、話題がリアルで真剣だから、こっちを先に見ると、評価が下がってるかも。僕はむしろ、初期のほうが好きかも知れない。クラシカロイドの生態とかわかるから。
あと、クラシックに歌詞がついたり、イメージがつくのは、好き嫌いの激しいところだと思うけど、1期のほうが、しっくりきてる気もするけどなぁ。

話は、音羽館を中心とするドタバタです。

4/10全8巻、観終わりました。
モツとベトの話が中心だけど、最後、ボイジャーまで話は進んで終わる。
ムジークも、クラシックも、どっちもすごく興味が持てました。
すばらしい作品だと思います。見たほうがいいよ。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 5

71.5 16 クラシック音楽アニメランキング16位
ファンタジア(アニメ映画)

1955年9月23日
★★★★☆ 4.0 (23)
125人が棚に入れました
8つの異なる時代を8つの古典音楽にのせて描く、ファンタスティックなアニメーションによるバレエ劇。ミッキー・マウスが指揮者兼時の魔術師として登場。当時としては斬新な立体音響を採用した。収録曲はバッハの『トッカータとフーガ』、チャイコフスキーの『くるみ割り人形』、デュカスの『魔法使いの弟子』、ストラビンスキーの『春の祭典』、ベートーベンの『交響曲/田園』、ポンキエルリの『時の踊り』、ムソルグスキーの『はげ山の一夜』、シューベルトの『アベ・マリア』。
ネタバレ

前田定満 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

クラシック音楽を聴くきっかけに!

□「ファンタジア」とは
 ディズニー長編アニメ3作目の作品です。このアニメは一般的なアニメではありません。普通のアニメと違う所はセリフが無く、「音楽(サントラ)が主役」な点です。普通のアニメでは、アニメーションとその内容を盛り上げるために音楽(サントラ)を付けます。しかし「ファンタジア」はそれが逆で、元からあるクラシック音楽にアニメーションを付けています。


製作:ウォルト・ディズニー
総監督:ベン・シャープスティン
編曲.オーケストレーション
 レオポルド・ストコフスキー
キャスト
 オーケストラ指揮:レオポルド・ストコフスキー
 オーケストラ:フィラデルフィア管弦楽団
 ミッキーマウス:ウォルト・ディズニー
 ナレーター:デームズ・テイラー
制作会社:ウォルト・ディズニー・プロダクション
公開日:1940年11月13日(USA)、1955年9月23日(日本)
上映時間:115分



□各作品内容
{netabare} 「ファンタジア」というタイトルの中で8つの作品に分かれており、作品と作品の間には説明のナレーションが入ります。大きく分けると第一部に4作品と第二部に4作品となります。一部と二部の間には休憩として、楽器の紹介とちょっとしたコーナーが設けられております。


~第1作:「トッカータとフーガ ニ短調」~
作曲:ヨハン・セバスティアン・バッハ
{netabare} 1作目「トッカータとフーガ」はファンタジアの他の曲とは違い、ストーリー性がなく情景を表さない「絶対音楽」という音楽です。なので画も音をアニメーションに表したような抽象的なものです。
 実写のオーケストラの映像から始まり、途中からヴァイオリンの弦が動くアニメーションになり、徐々にアニメーションが増えて、最終的に壮大なアニメーションになっていきます。アニメーションと実写の融合作品。まさに芸術作品という感じです。{/netabare}


~第2作:「くるみ割り人形」~
作曲:ピョートル・チャイコフスキー
{netabare} 第2作以降は「絶対音楽」とは真逆のストーリー性や情景を表す「標題音楽」になります。2作目の曲はバレエ組曲です。原曲との大きな違いは曲順です。
・原曲曲順
「第1曲:序曲」、「第2曲:行進曲」
「第3曲:金平糖の踊り」、「第4曲:ロシアの踊り」
「第5曲:アラビアの踊り」、「第6曲:中国の踊り」
「第7曲:葦笛の踊り」、「第8曲:花のワルツ」
・ファンタジア曲順
「第1曲:金平糖の踊り」、「第2曲:中国の踊り」
「第3曲:葦笛の踊り」、「第4曲:アラビアの踊り」
「第5曲:ロシアの踊り」、「第6曲:花のワルツ」
 ※ファンタジアでは「序曲」と「行進曲」はありません。

 この作品にはくるみ割り人形は登場しません。ファンタジアでは妖精や花やキノコや金魚が踊りを披露します。特に「アラビアの踊り」の金魚は色っぽいです。「花のワルツ」のストコフスキーの曲の締め方に注目です。{/netabare}


~第3作:「魔法使いの弟子」~
作曲:ポール・デュカス
{netabare} これはファンタジアの看板作品です。魔法を覚えたばかりの弟子が解き方も知らずに魔法を使い、最終的に魔法が暴走してしまうという物語です。ファンタジアの作品の中で
はこの作品が実際の音楽のストーリーに最も忠実です。弟子役はミッキーが勤めます。魔法をかけうかれた弟子がうたた寝して夢を見るシーンは有名なシーンです。{/netabare}


~第4作:「春の祭典」~
作曲:イーゴリ・ストラヴィンスキー
{netabare} 元々はロシアのバレエ団のために作曲されたバレエ曲です。しかしながらファンタジアでは別の解釈をして「地球の歴史」をテーマに描かれています。

[一部]
 地球誕生からマグマオーシャンを経て地球に海が現れるまでを描いています。時代でいうと先カンブリア時代の冥王代の約46億年前から始生代の始め約40億年前までが描かれています。溶岩が流れる画や海底火山の画は素晴らしく、約80年前の作品とは思えない素晴らしい技術です。
[二部]
 生命誕生から恐竜絶滅までを描いています。時代でいうと先カンブリアの真ん中の約35億年前から始生代、原生代、古生代と来て、やっと中生代の恐竜時代です。
 恐竜時代の見所はT-REXがステゴサウルスを狩るシーン。恐竜の他にも海の最強爬虫類モササウルスも登場します。しかしその後恐竜は「干ばつ」により絶滅します。現在は「隕石の衝突」とそれによる「環境の変化」が絶滅の要因とされていますが、上映された1940年のあたりでは「干ばつ」が絶滅の要因と考えられていました。恐竜が絶滅したあと再び時代が変わり海が帰ってくるところでお話は終わります。{/netabare}


~幕間~
 ここで少々休憩タイムです。この休憩タイムでは楽器紹介を兼ねた、ちょっとしたアニメーションがあります。笑える演出も用意されています。


~第5作:「田園交響曲」~
作曲:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
{netabare} ファンタジアの曲の中で最も好きな曲が、この「田園交響曲」です。タイトル通り田舎の風景を描いた曲です。

・各楽章タイトル
「1楽章:田舎に着いたときの愉快な感情のめざめ」
「2楽章:小川のほとりの光景」
「3楽章:田舎の人々の楽しいつどい」
「4楽章:雷雨、嵐」
「5楽章:牧人の歌 嵐の後の喜びと感謝の感情」

 映画のストーリーは曲のストーリーに近いですが、ファンタジアではこれにギリシャ神話を加えています。なのでキャラクターもペガサス、ケンタウルス、ユニコーン、ゼウスなどが登場します。{/netabare}


~第6作:「時の踊り」~
作曲:アミルカレ・ポンキエッリ
{netabare} 大変楽しい曲です。特に終盤付近から始まるメロディーはノリが良いです。ここではいろいろな動物が登場してバレエを披露します。ダチョウ、カバ、ゾウ。しかしみんな女役。この3種類が可愛く色っぽく見えるのは不思議です。これぞディズニーマジック!中盤以降から男役のワニを交えて盛大に踊りは終わります。{/netabare}



※第7作と第8作は繋がっています。

~第7作:「禿山の一夜」
作曲:モデスト・ムソルグスキー
{netabare} 第7作はホラー作品です。悪霊たちの夜の祭りを描いています。お墓などから出てきた悪霊達が夜の世界で踊り狂います。
 しかし悪霊たちの楽しい祭りも終わりを迎えます。朝を迎えるのです。教会の音と共にラストの8作目に続きます。{/netabare}


~第8作「アヴェ・マリア」~
作詞:ウェルター・スコット
作曲:フランツ・シューベルト
ソプラノソロ:ジュリエッタ・ノービス
{netabare} 第8作は第7作で踊り狂った悪霊たちの魂を巡礼者達がロウソクの光でしずめていくという演出です。小さいときに観たときはつまらなかったですが、大人になってみると非常に美しいなと思います。そして太陽の光と共に全ての作品が終了します。{/netabare}



 全曲について、映像と合わせるために編曲されているので、まんまではありません。カットされている部分があったりなど。
 またこの映画の見方として、全作品を通して観ようとするのはやめた方がいいです。作品ごとに分けて観ることをオススメします。{/netabare}



□こんな人にオススメ!
{netabare} まずこの映画の魅力として、芸術性が非常に高いということです。「アニメーションの質の高さ」。まず一つ目の魅力です。アニメーションを楽しみたい方にまずオススメです。約80年前も昔の作品とは思わない映像技術、作画技術をぜひ一度はご覧になるべきだと思います。
 クラシック音楽が好きな方にはもちろんですが、クラシック音楽を聴いたことがない人にオススメです。ファンタジアは音楽をアニメーションによって面白くした映画なので、観たあとに「この曲印象に残ったな」と思ったら、ぜひ原曲を聴いてみていただくといいと思います。{/netabare}



□音楽の解釈
{netabare} 私は音楽を専門にやっているわけではありませんが、(聴き手側として)一つ思うことがあります。聴き手側として大切なことは「聴いてどう感じたか」ということだと思います。「悲しい曲だなあ」とか「楽しい曲だなあ」とか「聴いてて、こんな情景が浮かんだ」などなど。思い描く風景、抱く感情は人それぞれだと思うわけです。もちろんプロの演奏家が意識してるのは「作曲家の心境」を考えて演奏するわけですが。
 この映画を観る前にファンタジアの音楽を聴いた人にとって、自分の思ってた風景と違うと思う方がいるかもしれません。「春の祭典」は違いすぎますが…。あるいは専門家からみたら実際の作曲家のイメージじゃないと思われるかもしれません。(特に第4作は…)。それにより不快感を持つ方もいらっしゃると思います。(ストラヴィンスキーは怒ったようです…)。それでも是非、広い心で「こんな解釈もあるのか!」と観ていただければと思います。事実、映画の冒頭でナレーターがこの映画について「専門家の解釈ではないところが良い。」と言っています。
 私はファンタジアに倣ってクラシックのコンサートに行くと、帰り道によくその曲から感じる風景をスケッチブックに描いて楽しんでいます。もちろん風景を想像しやすいようにある程度予習しますが。{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 9

イブわんわん さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

初めて見たとき、カルチャーショックを受けたアニメ(400見終わった記念)

とは言え、タイトルが判らずまだ棚に移動していないアニメも多くあるが、区切りとしてこのアニメを選びました。

ご存知の方も多いと思うが、ディズニーではトップクラス(個人的)で、公開が70年以上前の芸術アニメ作品。

で、何にカルチャーショックを受けたかと言うと、音楽と映像との関係です。

それまでは、効果音的な立場のクラシック音楽(BGM)がメインになっており、映像と音楽が見事なまでに相乗効果をかもし出しております。

音楽のイメージをビジュアル化したこの作品を見たとき、とても感動した記憶があります。

また、「展覧会の絵」はこれとは逆に絵から受けたイメージを音で表現しています。
(ムソルグスキー作曲、後にラベルがオーケストレイションし有名になる)

特に「魔法使いの弟子」は今見てもその芸術性、エンターテイメント性には脱帽です。

ミッキーマウスの魔法使いの衣装はあまりにも有名ですよね♪(とんがり帽子に赤いマント)

最近では「かみひこうき」という台詞が全く無いモノクロの短編アニメを見たが、現在においては日本のアニメ文化の方ががかなり進んでいると思いました。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 7

褐色の猪 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

一勝二敗

初めて観たのはアニ同(東京アニメーション同好会)の上映会

寝ました、グッスリ寝ました。

後日再観、グッスリ寝ました。。。

数ヵ月後、三回目でやっと全編完観

映像と音響の遭競演は流石です。


これ途中で寝ちゃう人多いと思う。
寝てしまうのは飽きちゃったとかじゃなく所謂陶酔に近いかな。
特にアニメーションファンやクラシック音楽ファンなら猶更
(と自己弁護もしておきます^^;)

何となくシーンやパートが気に入ったなら後はTVでもやってた「シリーシンフォニーシリーズ」等ちょっと漁ると結構堪能できます^^

投稿 : 2024/12/28
♥ : 6

62.3 17 クラシック音楽アニメランキング17位
薄暮(アニメ映画)

2019年6月21日
★★★★☆ 3.1 (53)
163人が棚に入れました
福島の女子高生―ヴァイオリンだけが取り柄の、どこにでもいる少女。福島の男子高校生―絵を描くだけ、それで生きてきた。震災の影も彼に宿っているのだろう。とある田園風景の中で、そんな二人は出会った。ぎこちない邂逅、それがやがて「恋」へと発展する。それがどんな奇跡を生むかはわからない。儚く散るひとときの夢物語なのかもしれない。でも、彼らは出会った。この土地で、この場所で、世界の息吹を感じながら、彼らは人として生き、価値観を共有し、恋をする。

声優・キャラクター
桜田ひより、加藤清史郎、下野紘、島本須美、福原香織、雨宮天、佐倉綾音、花澤香菜

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

アニヲタよ騙されるな!上品な青春映画に隠されたヲタク要素!!これぞヤマカンの集大成!!!

『blossom』、『Wake Up,Girls!』と東日本大震災以後、東北を舞台とした作品を手掛けてきたヤマカンこと山本寛監督の東北3部作と位置付けられたシリーズの3作目
福島県いわき市が舞台の52分の中篇映画です


福島県いわき市の女子高生、小山佐智は音楽部の所属
文化祭で披露される弦楽四重奏の発表に向けてヴァイオリンの練習に励む日々
高校の帰り道、通学路から少し外れた田園に囲まれた田舎道での夕刻時、佐智はよく一人になりたいと思ってその場所に訪れる
茜色の夕景と、深藍の夜空の間に生まれる緑色の空、薄暮を楽しむ為だ
ある日のこと、自分しかいないと思っていたいつもの帰り道のその場所で、いつも帰路のバスを共にする他校の男子生徒と遭遇する
男の子の名前は雉子波(きじなみ)祐介
美術部の彼は展覧会用の風景画を描いているのだという
その日から誰もいない田園風景で、2人の若者のだけの逢瀬が始まったのだ…


企画立ち上げ当初からクラウドファンディングや仮想通貨での制作費回収を謳い流石ヤマカン、挑戦的だなと思いました
が、出資者向け試写会で完成が大幅に遅れていることが露見すると、正直ちゃんと公開するのか?という不安の方が大きくなり、半信半疑のまま鑑賞することになったのがヤマカンを評価してる身でありつつもオイラの正直な気持ちでした


ですが実際に本編を観てみるとあまりにも完璧な作品だったので暫し唖然


そもそも近岡直さんキャラデザ総作監の美少女が画面一杯に出てくる、というだけで十分価値のある作品なのに!
原画には湖川友謙さんや平松禎史さんや足立慎吾さんや追崎史敏さんもいる!
もはや奇跡ですね、オイラの心配など吹き飛ばすクオリティです
確かに本来アニメートされるべきであろうカットが止め絵になっていた箇所が1,2点ほど観受けられましたが、演出上は気にならないレベルです
もし円盤化のチャンスがあればリテイクされる可能性もあります
今作を機にヤマカンはアニメ制作を廃業する、というのですが正直「辞める辞める詐欺」であって欲しいと思います
だってこれは“アニメが好きな人にしか作れない映画”だからです


ヤマカンは「アニヲタは観に来るな」と煽ったそうですが、とんでもない!
アニヲタであればあるほど気付くであろうヤマカンのアニメへの、そしてヤマカン自身の作品への愛、そんなものが今作には詰まっているのが受け取れます


まず一番の目玉となる弦楽四重奏の演奏シーンが特に目に付きますよね
ライブシーンというのはヤマカンの十八番ですからもちろん観応えがあります
それに文化祭のモブの中にはどこかで見覚えのあるキャラ達の面影がw
音楽部の部員は某アイドルとそっくりの姿も観受けれるw
主演には子役出身の桜田ひより、加藤清史郎を配して等身大の高校生感を出しつつも、脇を固める声優陣はヤマカン作品の常連ばかりw


アニメが好きでなければこんな映画は作れませんって
ヤマカンは今作の構想を20年前から温めていたそうですが、「いわきを舞台にアニメを」という話が持ち上がった時にふとこの構想を思い出したそうです
いわきは美しい、これは事実です
そしてその形を、アニメ映画という形に残す意味が、震災後だからこそあるのだと今作は教えてくれます
アニメ、というのは時として目で観る現実の風景以上の印象を視聴者に与えることが出来てしまいます
震災後の、今のいわきの姿を、いつか変わってしまうかもしれないこの風景を、アニメとして残すことの意義を感じ取れる映像だと思いましたね


そして何より、今作はどんな人が観ても良い話だ、と感じ取ることが出来る上品な青春映画に仕上がっています
これを最も評価したいと思います
当のいわきの人達が不快に感じるような作品であっては駄目ですからね
オイラも池袋シネリーブルで今作を観ましたが、びっくりするぐらい客がいないんですよw
今作はもっと評価されるべき!と強く感じました

投稿 : 2024/12/28
♥ : 9

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

簡単には言い表せない福島の空模様と青春の心模様と

ショートアニメ『blossom』(岩手県 未見)
『Wake Up,Girls!』(宮城県仙台市 全作視聴済)
に続いて福島県いわき市を舞台した山本 寛監督・東北三部作の中編劇場アニメ。

形容し難い青春の諸々(幼少期の被災体験も含む)を抱えた
バイオリン少女と絵描き少年が夕暮れ時の福島の空の下、
互いの芸術表現も通じて曝した心を触れ合わせて交流を深めていく。


【物語 4.0点】
詩的で文芸的。かつ、こっぱずかしいくらい古風。
主人公少女のモノローグが主導するシンプルな構成。

同じ風景を共有した少女と少年の恋慕への発展など、
青春アニメはおろか、実写映画でも絶滅危惧種ではないかと思うほど、
失われた王道を驀進する。


被災地が舞台ではあるが、真実を暴いてやろう等という、ゴシップ趣味は希薄。
聖地巡礼効果も目論み、“明るい”福島を描いたという本作においては、
震災も少女と少年のトラウマも表面上は克服されたように見え、
被災者もこの世界に価値と居場所を再発見しようとする心の復興の段階。

帰還困難区域からの避難者であるという少年の過去についても
言葉でハッキリと説明されることはない。


バイオリンの音色や絵画、空模様に反映された心模様を読み解くことが求められる。
多分に感性に訴えかける内容。


【作画 4.0点】
人物作画はソースは潤沢じゃないけど、伝えたい心情を表情に込めることは出来ている。
けど、やっぱり十分な制作体制で作画安定度を高めた登場人物を見てみたかった……となる。
お馴染みの山本 寛監督&キャラクターデザイン・総作画監督・近岡 直氏のタッグ。

特筆すべきは美術監督に起用されたMerrill Macnaut氏。
仙台市出身の日本人でショートアニメ動画の自主制作経験もあり。
薄暮の空に色付いた“緑色の光線”まで描写した絵画的な背景美術は、
この世界にまだ残された価値を再認識させるのに十二分な説得力を持つ。


私はAmazonプライムで100円増しのHDレンタルで視聴しましたが、
それに見合うだけの物はありました。


【キャラ 4.0点】
ちゃんと生理も来る主人公のバイオリン少女。自身の置かれた青春の状況を、
かじった文学等も元にして自問自答するだけの感受性を持つ。

言葉じゃ吐き出せない諸々を少女は音楽で、少年は絵画で表現する。
こんな芸術的アウトプット回路を保有する高校一年生……。


記号化された萌えキャラやイケメンとは真逆のベクトルでの非実在感。
だが、だからこそ本作には現実では心に引っ掛かってなかなか出て来ない物を
具現化する夢があるのだと思います。


深夜アニメの形式美が恋しい方の拠り所として?
一応、主人公と同じ部活の女友達“ひいちゃん”(CV.佐藤 綾音さん)が、
非モテ・アイドルオタクの現実逃避等を放言してくれたりはしますw


【声優 3.5点】
ヒロイン役に桜田 ひよりさん。相手少年役に加藤 清史郎さん。
共に子役としてキャリアを積んできた俳優をメインに据え、
脇を“ちゃんとした声優”(しかもかなり豪華)で固める布陣。

メインの演技はたどたどしいが、確立された“ちゃんとした声優”の好演の中で、
初心な少年少女像を浮かび上がらせるという狙いは成就しており、
“ちゃんとした声優”以外のアニメは認めん
という風潮に対するカウンターにはなっている。

でも、やっぱりメインの演技は拙いけれども。


【音楽 4.5点】
バイオリン演奏が特徴の本作。
心が荒れ模様の時にはしっかり乱れる演奏シーンで青春の機微を好表現。
劇伴もバイオリンをふんだんに取り込み追随する。

ED主題歌はAZUMA HITOMIさんの「とおく」。ピアノベースの静謐なバラード。
“辛矢 凡"氏の歌詞世界で淋しさの中にも、しっかりと希望の花が咲く。


【感想】
夕焼け空をいつまでも眺めていたくなる……。
そんな、すっかり忘れ去ってしまっていた大切な気持ちを思い出させてくれる、
心地よい余韻が残る作品でした。

あとは心の損壊防止のためにも、
何でもいいから感性は磨いておいた方がよいとも思いました。

正気に戻りたい時に、心の片隅に確保して置きたい一作です。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 23
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

そんなファンタージは幻です。

約52分の映画です。
震災といわき市に惹かれて視聴しました。

{netabare}いわき市は、昔仕事でよく行った街です。
福島市に住んでいた私は、浜通り経由で通っていました。
あの沿線の人たちは・・・今でも心を痛めています。

震災直後、仕事で一週間ほど福島市に泊まりました。
旅館には浜通りから避難した家族も。
あの人たちは今どうしているんだろう。
節電により暗かった福島市の夜とともに、今でも時々思い出します。{/netabare}

この作品は、震災を前面に押し出していません。
しかし、震災によっても連綿と時は流れ、確実に日常は続いている。
人は過去の縛りを解き放ち、未来を見据え今を生きなければならない。
ということを暗に示していると感じました。

晩夏の薄暮のエメラルドグリーンの空。
美しい風景をバックに繋がる男女高校生の恋慕。
その想いを面映ゆくまた頼もしい気持ちで観ていました。

話は変わって、{netabare}主人公さっちんの友人たちがつわものです。
さっちんは、自分の世界を持つ静かな女の子です。
その対極はひいちゃん。
騒々しいの権化です。
それをなだめるリナ。
オタク気質ですが、包容力があり観察眼は鋭いです。

ひーちゃんとリナのテンポの良いやり取りが楽しい。
それに、今時の女子高生って感じが自然でした。
エンドロールを見て納得。
声優さんはあやねると天ちゃん。
そりゃ、巧いはずだ。
ついでに、先輩は花澤さん。
豪華さに得した気分です。

ラストは幻想的な星空と気恥ずかしい行為。
ピュアに当てられ、私はしばらく立ち直れませんでした。
ただし、薄暮には美しい星空は見えません。
だから、ファンタジーを観たってことにしておきましょう。{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 12
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